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――――――





「いらっしゃい、伊野尾くん。中、どうぞ」



『ん…』





高木に促され リビングに入ると、




テーブルの上に 白い封筒が ぽつんと置かれていた。




『なに?』



「見れば 分かるよ」




封を開け、出てきたのは、一枚の写真。





『この女…』




派手な化粧に 茶色い長い髪。




そう。この世で一番憎い、薮の結婚相手の女だ。




『どうして、たかきが…』




写真の女を 睨みつけていると



写真を 高木に奪われ、




ぐしゃぐしゃ、ぽいっ




あっけなくゴミ箱へと 消えていった。




『あ…』



「こんな風に、消えてくれたらいいのにね」



『やっぱり、たかき 知って…』



「伊野尾くん、ひどいよ。俺じゃなくて、先に 塗君に連絡するなんて」



『だって、こういうの調べるの、塗君しか出来ないから…』




「それでも、俺のこと 一番に頼ってよ」




少し ふてくされた声と ともに




ふわり




俺の ほほに触れる 大きな手。




薮のものではない 大きな手。




だけど、とても頼りになる 大きな手。





「でも いいや。ちゃんと 俺のところに来てくれたから」



『たかき…』




視線が かさなり



少しづつ近づいてくる 高木の顔。





「で、姫の ご要望は?」





体温に乗って香る 高木の 甘めの香水。





『……あの女を、オトして』





俺の くちびるに吹きかかる あつい吐息。





「1年半?1年?」






しかし、





『半年』





くちびるが触れるまで もう少し、のところで、




「っ、はははっ…」





その くちびるは ぴたり、止まった。





「半年。半年ねぇ…」




目線をそらし 苦笑いする高木。





『できない?』




だけど、




俺が 高木の袖を引っぱり



わざとらしく 上目遣いで みつめると、





「……CLUB "UNDER WORLD"のナンバーワン、なめんなよ」





ぐ、と 眉間にシワを寄せ、




『、んっ』





噛みつくように 俺にくちつけた。




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作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時

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