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次の日、




ふわふわと巻いた髪は 大好評で、




「似合うじゃん、伊野尾」




薮は 俺のそばから離れず



しきりに 俺の髪を撫でていた。




『へへへ…』





と なれば、





「伊野尾君。ちょっと いい?」




俺は 呼び出されるわけで、






「あんた、人の話 聞いてた?」




鬼の形相をした女に 胸ぐらを掴まれる始末。




こわ…




『な、に…?』



「髪なんて巻いちゃってさぁ…。男のクセに 気持ち悪いんだよ!!」






この時 俺は、痛いほど思い知った。




"女"という生き物は とても醜い、ということを。






『……そういう あんたは、女のクセに 魅力ねぇなぁ』



「っ、なんですって!!!」




パチン




女の絶叫が 俺の鼓膜を震わせたのと同時に、



ほほに 激痛。




『ってぇ…』




俺は 思わず ほほを押さえ、うずくまるが




女は まったく気が晴れていないようで、




ぶりっ子 だの、性格ブス だの、



おそろしいほどの 言葉の暴力を 俺に ふるい続ける。





おいおい、ほんとに これでよかったのかよ…





こころの中で 昨日の男を疑いはじめた




その時、





「なにしてるんだよ」





背後から 投げかけられた 聞き覚えのある声。




『、』




振り返れば 薮が立っていて、




『やぶ…』




俺は わざとらしく顔を上げ



真っ赤に腫れているであろう ほほを見せつけた。




「伊野尾。どうしたんだよ、それ」



『ふぇぇっ…やぶぅ…』




ててて、と 薮に駆けより




『こわかったよぉ…』




わざと ぶりっ子仕様で泣きつけば、




すべてを汲み取った薮は やさしく俺を抱きしめ返し、




「大丈夫、大丈夫」と 頭を撫でてくれた。







そこからのことは あまり覚えていない。





女の「騙されちゃダメだよ!!」という ヒステリックな叫び声と、




薮の「誰だ、お前」という 死ぬほど冷たい声ぐらいしか。






あとは、




遠くのほうで




「高木君、待ってよー」という 女の声も聞こえた 気がした。









.




「そうだなぁ…明日、髪の毛巻いて、ふわふわにするといいよ」



『髪の毛巻いて、どうすればいいの?』



「どうもしなくていいよ。現実を突きつけるだけだから」



『げんじつ…』







「伊野尾くん。やられたら、やり返せばいいんだよ」






.

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作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時

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