検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:97,558 hit

過去と、7ヶ月前(たかいの) ページ33

.



in side





"やられたら やり返す"






俺が それを教えてもらったのは、高校生の時。




きっかけは、ひとりの女だった。







「伊野尾君ってさ、薮君にベタベタしすぎじゃない?もう少し 距離おいて欲しいんだけど…」



『ベタベタ?別に ふつうだよ?』




なんだこいつ…




そう思いながら



いつもみたいに 頭の足りないふりをして



やり過ごそうとしていたのに、




「そーゆーの、見ててムカツクんだよね。男に色目つかって、媚まくって…。はっきり言ってあげようか?あんた 邪魔なの」



『、』




「次、薮君に色目つかったら、タダじゃおかないから!!」




そう吐き捨て 去っていった女。





『……うざ』




姫だ、蝶だ、と 周りにもてはやされ



あまやかされていた 俺にとっては



はじめての出来事で、




気分悪い…





とりあえず なぐさめてもらおうと



俺は 友人たちの所へ足を運び、





『でねっ、おれ、すっごく こわくってぇ…。おれっ、やぶに ベタベタなんてしてないのにぃ…』




うるうる瞳をうるませながら 事の詳細を告げた。




案の定、




「いのちゃん、泣かないで」



「ほら、ハンカチで涙ふいて?」




俺に群がり なぐさめの声をかける 男たち。





しかし、





「でも、いのちゃん。そろそろ 薮離れしても いいかもね」



「そうだね。薮に彼女作らせる いい機会じゃん」




『…え?』




俺の求める言葉なんて 一切なくて、



俺は 激しい憤りを感じた。





薮なら、俺の求める言葉を 言ってくれるのに。



俺を 充たしてくれるのに。




こいつらは俺を なぐさめることも出来ないのかよ!!





だからといって 薮に このことを話し、



薮に想いを寄せる 女の存在を知られるのは どうしても いやで。





どうすれば、俺の こころは充たされる?




どうすれば、どうすれば…、






そんな時だった。






「伊野尾くん。明日、とびっきり おめかししておいで?」






高木に 出逢ったのは。





『だれ?』



「ん?俺は、伊野尾くんの味方だよ」



『みかた…』




「そう。そうだなぁ…髪の毛巻いて、ふわふわにするといいよ」





茶髪で、チャラチャラした格好で



初対面なのに 俺の名前まで知ってて、




あきらかに 怪しいヤツなのに、





『わかった…』





こころになじむ その声に




俺は なぜだか従ってしまった。




.

2→←4



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (312 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
569人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。