検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:97,495 hit

3 ページ31

.





抱く、とは




あの女が 薮の身体に 触れるということだ。




そして、




薮が 意思を持って あの女に触れるということだ。





薮のくちびるが あの女の くちびるに触れ、




薮の 手のひらが あの女の ふくよかな胸を揉み、




薮の舌が あの女の 乳首を舐め、




薮の瞳が あの女の痴態を 見つめ、




薮の口が 快感の声を漏らし、




薮の自身が あの女の 膣に入り、



ずぼずぼ 出たり入ったり。



そして ぐちゅぐちゅ 淫液を絡ませあい、




あの女のナカに 精を放つんだ。




すべて、薮が 意思を持って。





薮が、



薮は、



薮の、



薮に、



薮と、






無理だ、無理だ、無理だ、無理だ、無理だ、






こころが悲鳴をあげた瞬間、




『うっ…』



俺は 吐き気をもよおし




トイレへと 走った。






『うぇっ…うっ…げほ、げほ…っ』



「伊野尾!!」



『うっ…やぶ、みな、で……うぇっ…』



「大丈夫か?」




みっともない 俺の姿など 気にすることなく



俺の背中を さする薮。




何度も、何度も、




俺の大好きな、大きな手で。





そのうち、この大好きな手を "汚い"と 思ってしまうのだろうか…





そんなことを考えながら



便器に 顔をつっこみ続ける 俺。




しかし、吐けども 吐けども



ここ数日、何も食べていなかった俺の身体からは



吐き出せるものなど 何も無くて、






『へへっ。つわりでも きたかと思った…』





かわりに、しょうもない嘘を ひとつだけ吐いておいた。






「伊野尾…」




死にかけた 薮の声とともに




するり、



俺の背中から すべり落ちていった 大きな手。




そのまま 床に てのひらをつけると、




「許してくれ…」




ごつん、




あの時と まったく同じ光景を 俺に見せてくれた。





だけど あの時と違うのは、




俺の こころは すでにボロボロだということだ。




それが、唯一の救い。



もうこれ以上、こころは壊れない。



痛みは するけれど。





『もういいから、やめてよ やぶ。やぶの方がつらいこと、俺、ちゃんと わかってるから…』



「伊野尾…」




俺は 薮の手を取り



自分の胸に 押し当てた。





『ねぇ、やぶ。俺も、こども ほしい』



「、」



『だから、今日は いっぱい、ナカに出して?』



「あぁ…」






ばかやろう。




他のヤツを抱いた身体で 抱かれるんだ。





俺の方が つらいに決まってるだろ。






.

4→←2



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (310 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
568人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。