9ヶ月前 ページ25
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最初の土下座のお話
in side
『♪いこうか、にげようか』
トントントン、包丁が まな板をたたく音。
『♪きみが のぞむままに』
ぐつぐつぐつ、鍋が 煮込む音。
『♪こうか、ふこうか』
ザーザーザー、蛇口から 水が流れる音。
いつもより気合を入れた、晩ごはんの準備。
『♪ネオメロドラマティック』
塩を取ったところで ふぅ、と ひと息。
『やぶ、まだかな…』
最近、残業だったり、薮の父親が経営している会社のパーティに 参加したりと
朝から晩まで バタバタ忙しい 恋人。
そんな恋人から
「今日は早く帰るから」
と 昼前にメールが届き、
俺は 日が沈む前から ごちそう作りに はげんでいる。
一緒にごちそう食べて、そのあと いっぱい 愛してあげるんだ…
『へへ。俺って いい奥さん』
今日のプランを 思い浮かべながら くすり、ひとりごち
『よし、こんなもんかな』
火を止めたのと同時に、
ガチャ
玄関の開く音。
『!、やぶっ!』
心待ちにしていた 恋人の帰宅に 心臓が高鳴り
『おかえりなさいっ!』
玄関まで 迎えに出たのだが、
『や、ぶ…?』
そこにいたのは、青白い顔をして つっ立っている恋人だった。
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作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時