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『え…?』
予想してなかった出来事に、
一気に 力が抜けた 俺の身体。
視線は ゆびわに向いたまま
ずるずると その場に崩れ落ち、
床に座りこむ瞬間、
薮に 抱きしめられた。
『やぶ…?』
ふるふる 震えている 薮の両手。
「…いらない?」
『な、に…』
「ゆびわ、いらない?」
どくどく、どくどく、早鐘を打つような 心臓の鼓動。
『、』
「俺と 一緒に歩んでいく人生は、いらない?」
少し 弱気な 薮の声。
『っ、ばかじゃないの…っ…』
何を 不安に思うことがあるんだよ。
俺の気持ちなんて 分かりきってるクセに。
「けい…」
『いらないわけ、ないっ…ずっと、ずっと、ほしくて、ほしくて、しかたなかったんだからぁ…っ…』
本音とともに
ぼろぼろ バカみたいに こぼれる涙。
薮は 俺の涙を 親指でぬぐうと、
「だったら もっと、うれしそうな顔してくれよ」
戸惑ったように ほほえんだ。
『うぅ―っ』
ばか、ばか、ばか、
『ばかやろうっ…!!ほしかったけど、ほしかったけどっ、一度は あきらめたんだよ、その夢を!!
本気で、本気で、死ぬおもいで あきらめたんだよぉ…。だから、そんなかんたんに うれしそうな顔なんてっ…』
ばか、ばか、
ばかだ。お前も、俺も。
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作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時