検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:97,509 hit

2 ページ21

.





「おっと、」






よろめきながらも、しっかり 俺を抱きとめてくれた薮。






「今日は ごきげんだな」





はは、と 笑うと、





ぎゅう





俺を 強く抱きしめ




俺の 髪に顔をうずめる。






「…ただいま」



『おかえりなさい』






最近、こうやって 抱きあうことが多くなった。






抱きあいながら




お互いの ぬくもりに安心し、





自分の居場所を 確認し、





過去の あやまちを反省し、





もう二度と、同じことを繰り返さないよう 誓い、






そして、





今 自分はしあわせなんだ、という現実で フタをし、前へ進む。








『お仕事、おつかれさま』




「家事をがんばってくれてる、かわいい恋人の為だから」




『ふふ、かっこいい』




「なんたって 帝王ですから」




『もう』





パシ




薮の胸に ネコパンチ。






俺が、『やぶが、帝王だから』と言って以来、





薮は ことあるごとに





「俺は 帝王だから」と 茶化してくるようになった。






最初は、帝王=悪の大王 と勘違いしていたようだが、





本当の意味を知り、その意味に とても満足したらしい。







『はいはい。帝王様は すばらしゅうございます。帝王様の右に出るものは、誰もおりません』






俺は 薮の腕からすり抜けると コンロへと戻り






『帝王ごっこは もう終わりね!』






帝王ごっこの終わりを告げ、料理を再開するが、







「慧」






俺を呼ぶ、少し 威圧感のある 低い声。






『もう、帝王ごっこは いいってばぁ!』





しつこい薮に 呆れつつ





持っていた おたまを置いて 振り返ると、







『っ、』







薮が 床の上に ひざまずいていた。







.

3→←1ヶ月後



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (310 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
568人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:本田 | 作成日時:2017年10月9日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。