if〜彩やかな宵〜 ページ22
遠くから聞こえるお囃子。この音は不思議と幼少期を思い出される。
ガキ大将に良く喧嘩売ってたっけな……といらない思い出まで湧き出てくるのは困ったものだ。
着物を纏って騒ぐ子供を見ると怒るに怒れない。楽しそうにしている童子に罪は無いはずだし、そういうもんだし。
が、ここぞとばかりにきつい香水を振り撒く奴はさっさと家帰って寝ろと言ってやりたい。
どうにか人混みを掻い潜り集合場所の境内の狛犬に辿り着くと一際目立つ集団がいた。
寧ろ個性が滲み出てて周りを困惑させている気がする。
社会人の日曜日は貴重だがよくこれだけ集まれたなと感心する。いや、彼らの人望があるせいかもしれないが。
「お、ようやく来たな張本人。お前一番最後だぞー」
「見ろグレイ、金魚だぞ! 金魚! 十匹釣ったんだぜ」
他にも「遅い」だの「腹減った」だの、更には「カッコいい子居ないかしら」とか。
後で後悔させてやる。と思ってもこいつらには内緒でしていた事だからそう言われて当たり前なのだが。
が、サトリ野郎と犬と加賀さん以外は目的を知っていて準備も同じく行っているのにブーブー言う奴らはどうかしていると思う。
「だー! 黙ってろこの野郎共! てか加賀さんこんな初めっから金魚持ち歩いてたら邪魔になりますからね? それに弱りますよ? 自己責任ですからね」
「ほら、グレイも来た事だし適当に歩くぞ」
サトリ野郎の一声でゾロゾロと歩き出す。
初っ端からこれで無事に終わるはずが無い。
カオスな未来が見えた俺は多分今までで一番げっそりしていたのではないだろうか。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ