浮気症

第十九話 ページ20

Aside









実弥が不意に、私の顔を見た









不｢目、どうしたァ？腫れてんじゃねぇか｣









見られないように抱きついてたのに









『あ…実はさ、昨日枕変わって全然眠れなくって！今すっごい眠いんだよね』









不｢じゃ、とっとと寝ろォ、体調崩すぞ｣









そういう風に、中途半端に優しくするのは、狡いよ









実弥は私を布団まで連れて、横にさせた









『……ねぇ、実弥』









不｢なんだァ？｣









せめて、








せめてこれだけは









『…大好きだよ』









この言葉だけは









不｢……あァ、ありがとなァ｣









実弥は部屋を出ていった









好きだよって言えば、







俺も好きだって、言ってくれたのに









愛してるよって言えば、








優しく微笑んで、抱き締めて、キスして、






俺も愛してるって、返してくれてたのに









もう、その言葉すらも、貰えない









実弥のいなくなった部屋で一人、





私はまた、泣いた









…………





不死川side









『大好きだよ』









その言葉に、俺は答えられなかった









それどころか、抱き締められたその背中に、手を回してやることすら出来なかった









こんなに裏切ってるのに









きっともう、気付いてるのに









それでも、俺に笑いかけて、大好きだと言葉をかけてくれるAを見るのが、









苦しかった

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