君の記憶の片隅に

第二十一話 ページ22

しのぶside






『ねぇ、しのぶ。カナエのお墓参り、一緒に居たのは誰？カナエの代わりに貴女を守るって言ったのは、誰？』









どうして、彼女からはこんなにも懐かしい感じがするのでしょうか









私の手を握った彼女の手を、私はきっと知っている









昔もこの手に、包まれた事がある









それがわかっているのに、思い出せないんです









〈しのぶ……カナエの代わりに、私が護るよ。二人の事、託されちゃったからね。カナヲとしのぶの幸せは、私が守るよ〉









そう笑ったのは、誰ですか？









その時に握られた手が









Aさんと同じ気がするんです









私の心に残る、貴女は、、









貴女の名前は……









煉獄side









『ねぇ、杏寿郎。君は一人で稽古をしていたの？君は、、誰と本気の手合せをしていたの？』









五年間、一人で稽古をしていた。









でも、なにか物足りなくて









昔の稽古の方が、楽しかった気がして









心の中に穴が空いていて









〈……ッ！！…うぅー、杏寿郎はやっぱ強いよ〜。…でもね、杏寿郎…生き急いじゃ、駄目だよ〉









そう言って、母親の様に俺の頭を撫でたのは









誰だ









俺の剣に着いてきて、俺に一撃を食らわせる程に強い剣士がいた









細身で、でも剣筋は誰よりも真っ直ぐで









いつも笑って、俺の頭を撫でた









君は、君の名前は……









悲鳴嶼side








『悲鳴嶼さん。貴方が飼っている猫は、誰が飼っていたものですか？』









私が飼っている猫は、昔からいる猫だ









その猫は、五年前から何かを探している









私が撫でても、満足せず、誰かを探す









〈悲鳴嶼さん！この子可愛いですね！飼えませんかね？私の家は飼えなくて……〉









悲しそうに猫を撫でる君は、誰だ









その人は、私が飼おうと言った途端に太陽の様な笑みをする









目が見えずとも、その女の方が美しいと、わかっていた









君は、君の名前は……

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