○４９ ページ49
『勝己』
名前呼ばれ、爆豪はゆっくりと体と顔を向ける。
『ありがとう、』
｢何に対してだ｣
『いろいろー』
そう言って鑑定書を開け、じっと見つめる。
『･･･本当は、探すのが怖かったんだ。いらない子に会いたいなんて思うのかなって、何度も思っては諦めてを繰り返して･･･なのに、君が見つけてくれたんだ。』
｢嫌だったか？｣
『ううん、嬉しいよ。これを知れただけでも嬉しいことなんだよ、凄く』
鑑定書を3つ折りにする。
千人は今にも泣きそうな顔を上げ、爆豪に腕を伸ばす。それを受け止めると爆豪は千人の体ごと寄せるると持ち上げて寝室へと向かう。
クラスメイト達は毛布がかけられている。爆豪はまぁいいだろう、と軽く流しながら千人のベッドへと倒れる。
(こいつ、泣きそうな時こんなかとすんのか、)
鼻先を赤くして、目は伏せ気味で、ムスッとした顔に可愛いと爆豪は思う。そんな千人を余すとこなく抱き締め、小さな頭を撫でるうちにぐずぐずと泣き始める。
シワが着くほど爆豪の服を握り締めながら千人は爆豪の厚い胸板に頭を押し付けた。
『勝己、』
｢あ？｣
『結婚しよ』
震えた泣き声でも言う。こいつは本当にめちゃくちゃだ、と爆豪は
｢それは、俺が言うことだろうが。先に言うなやボケ｣
『いてっ、』
顎で頭部への攻撃を加えると擦りながら今度は笑う。
｢母親んとこ行くなら俺が着いて行ってやる。やりたいことあんならこれからやってやる。｣
『じゃあ遊園地、ジェットコースター、お化け屋敷、観光、登山、君の料理を死ぬほど食べたい、まだあるよ？』
｢多すぎだ｣
『はは、言うと思った』
千人の腕が爆豪の背に回る。
『幸せだ。』
｢そうかよ｣
どちらでもなくお互いに気付けばキスをしていた。触れるだけのキスを何度も確かめる様に。
｢？、切島くん、どうしーー｣
｢しー！｣
｢？｣
切島は覗いてみな、と言うように扉の隙間を指差す。緑谷と飯田、轟は覗くなり顔を見合わせた。
そこには二人の寄り添って眠る姿。
陽の光に照らされ、きらきらと二人を祝福している様で綺麗に彩りをつくられていた。
｢僕達は残った後片付けしよう。｣
4人は静かに扉を閉めると爆豪はゆっくりと目を開け、千人の左手を取る。
｢好きだ｣
優しく額にキスを落とし、きらっと反射するそれを指に通す。
遅れた誕生日プレゼントに気づくのはもう少し後になりそうだ･･･
END
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (
レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます！感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます！ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年12月23日 10時
