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いつもの倍はある料理に目を輝かせる千人はソファでじっと座りながらその料理の数々を見つめる。
時々じゅるりとヨダレが出そうになっている。
爆豪は最後の1品に手を付ける。
『ねぇ、今日は何の日ー?』
「知らね」
『むー!そればっか、お疲れ様の会?にしてもメンバーいがーい!』
ばたばたと転がりながら話す。
爆豪は千人の頭部を見つめ、そろそろ何かを与えないといけないと思う。食べ物を目の前にここまで我慢できたのだ。
爆豪は冷蔵庫からアイスを取り出すと皿に盛る。
(俺も甘くなったな)
バニラアイスは爆豪お手製。こだわりのあるそれを手に頭部にコツっと当てる。
『わぁ!アイスー、いいの!?』
「飯前だからそれだけだ。それで我慢しろ」
『するするー』
爆豪は最後の1品に戻り、千人はアイスを食べながら爆豪を見つめる。
「んな見てもやらねーからな」
『そうじゃないよー・・・いやー、君って私のことよく分かってるなーって思ってね。』
「家政夫だからな、分かるわ」
『ははっ、懐かしいねーそれ。最初そう言って同居したからね。あの時の君はまだ幼さがあったなー?』
懐かしそうに目を細め、アイスを食べながらカウンターの椅子に座る。
「てめぇはあん時からワガママだ」
『ワガママかなー?でも、君はなんだかんだ言っても全部が叶えてくれたよね。』
惚れた弱み。爆豪は手を止めると人差し指を内に曲げ、来いと示す。千人はアイスを一口頬張りながら爆豪の隣へと行く。
不敵な笑み浮かべる千人の首が伸びてくる。唇同士が触れ、バニラの匂いがほのかに香る。
『君って案外キス好きだよね?』
「てめぇもだろうが」
『あはは、それはそうだ!』
またアイスを一口入れ、千人は体を反転させる。爆豪も包丁を握り直して視線を落とすとお、と千人ではない低い声に爆豪は思わず振り返った。
そこには白い大きな箱を抱えた轟がプルプルと腕を震わせながら悪ぃ、と出ていこうとする。
『?、どうしたんだろうね?』
「今すぐ連れ戻せ!」
『ん?うん?おーい!待ってー』
ドタドタと轟を追う千人。
爆豪は顔に手を当て
(やべぇ、見られた・・・)
安易にキスしたことを後悔した。
『あはははっ!そんなこと気にするんだねー!』
玄関から千人のその一言。
轟に言ったものでも今の自分に言われた気がした爆豪は包丁片手に声を張る。
「早く来い!ボケ!!」
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます!感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします! (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます!ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります! (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:秋雨秦 | 作成日時:2017年12月23日 10時