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ゴトっと手からスマホが滑り落ち、爆豪は床を一点に見つめたまま未だ震える体を落ち着かせようと髪を雑に扱う。



『・・・ごめんねー、ライトだけどキムいます?』



何かと話す千人。

耳に挟みながらも爆豪は動かなかった。



『いやー、少し個性貸してくれない?ちょーとでいいんだ、たったの1分!お願ーい!』



その後はあまり聴いていなかった。

爆豪はくそっと肩を握る。震えが止まらない。冷や汗が吹き出てくる。嫌な感覚に苛立つ。携帯の光が疎くなって蹴飛ばすとベッドの方へと滑って行く。

下に入ったか?めんどくせぇ、そう思った爆豪とは別に携帯はベッドの下に入る寸前で止まっていた。いや、正しくは"止められた"。



『勝己』

「ーー・・・」



蹴飛ばしたはずの携帯、それなのに声は部屋に響きやけに鮮明に名前を呼ばれて顔を上げると言葉を失くした。

カーテンが開けられ、街の光が部屋を薄く照らす。その姿は鮮明にはっきりと爆豪の目に映る。ここに居るはずのない人物が今、目の前にいるのだ。



『久しぶりだね。って電話してたけどねー。』

「は、おまっ、は?」



へらっと物騒な格好に合わない表情で爆豪の目の前へと歩みを寄せ、しゃがむとゆっくりと爆豪をキスをした日同様に肩口に寄せる。



『勝己、私は置いていかないよ。君の過去には触れるつもりは無いけど私は過去のものとは違う。今の私が全てだ。』

「んだそれ、」

『分からない、上手く言葉が出なくてね。君が泣いていると思ったんだ。良かった泣いてなくて。』

「誰が泣くかよ、舐めんな」



はは、と久しぶりのその声に爆豪は千人の背に腕を回すと逆に抱き寄せ、隙間なく埋めるように強く抱き締める。

それに苦しがる様子もない。



『また帰ってくる。その時はいっぱいご飯を作って欲しい。髪を洗って、乾かしてほしい。いっぱいキスしてほしい・・・ダメだろうか?』

「言われんでもやるわ。やり殺したるわ」

『殺されるのは勘弁だなぁ・・・勝己、』



名前を呼ばれて見れば唇に触れるだけのキスをする。そうして立ち上がると爆豪の頭に軽く触れる。



『私は行くよ。まだ終わっていないからね、』

「早く終わらして来い」

『ははっ、厳しなー。行ってきます。』



千人は1歩下がると何かを吸い込まれるように消えて行った。





お知らせ・2018・1/25
距離【轟焦凍】年齢指定・有
新作になります、気まぐれ更新なので暇つぶしにでも見ていただけると嬉しいです。

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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます!感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします! (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます!ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります! (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋雨秦 | 作成日時:2017年12月23日 10時

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