○３４ ページ34
｢俺だ。｣
『･･･久しぶりだねー。元気にしてたー？』
相変わらずの緩い口調。異様に周りの音が騒がしいことは置いて、話を続ける。
『リーの携帯なのに君が出るとは思わなかったなぁ』
｢借りた。テメェ、あっちの方じゃ出ねぇだろうが｣
『ははっ、確かに。触る癖がなくてねー。今度からそっちで取るよ？』
あ、ちょいまちーと呑気な事を言う。その奥からは声がし始める。殺れ、回れ、撃て、そうして銃声が聞こえる。
そんな中でこいつは電話を取り、平然と話しているんだ。
『お待たせー。あ、写真届いた！？』
｢届いた、なんだあれ｣
『星だよー？君が見たら喜ぶと思ったんだぁ。ほら、登山？するって言ってたじゃん？』
電話越しでもそわそわとしているのが分かる。
想像していると思わず吹いてしまった。
｢はは、良かったわバカ｣
『だろだろ〜？』
｢あーでもあれだ。手紙も何もねぇのは不合格だ｣
『厳しいなぁー、お手紙苦手なんだよね。俺の顔に免じて許して？』
相変わらずのバカ発言。それでもそれが聴けるこの時間が愛しくて、思わずボロが出た。
｢いつ、帰ってくんだ｣
掠れた声で出た意識のない言葉に爆豪は思わず口を抑えた。電話越しからは騒がしい音だけで反応がない。困った顔をしてきっと携帯を見ているはずだ。
気にするな、その一言も言えず黙り込んだ。
『ふぅ･･･勝己』
｢っ｣
男の声から女の声に変わる。それにしては少し低く、元の姿の声だと言うのは最後の日に嫌という程焼き付けた。
『早く終わらせるよ。もう少し、待っててくれる？』
｢･･･バーカ、待ってるだろうが今も。｣
そうだね。と笑う顔が想像できる。
つい数秒前とは比べ物にならないほどの音が入る。また連絡するよーと一方的に切られた電話。それなのに暫く耳に当て続けた。
俺たちはただの同居人だ。外国人の挨拶のキスより意味深なキスをして、付き合うとか結婚とかそんなのじゃないのにずるずると関係を続ける。俺だけがそれに不満を持つ。
(帰ってきたらキスだけじゃ終わらさねぇ、仕事辞めさせて専業にでも･･･家事できねぇからサイドキックだな･･･)
あいつのことばっか。
壁から体を離すとエレベーターのボタンを押す。そうして降りてくるのを待っている時だった。
｢お、爆豪！｣
｢あ゛？なんでいんだ｣
早朝だというのに切島鋭児郎がそこにいた。
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (
レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます！感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます！ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年12月23日 10時
