○３１ ページ31
月日は俺を置いて過ぎて行く。
気づけば半年、もうあいつの匂いも何も無い。時々部屋を掃除してはあいつの見ていた書類を読めもしないのに目を通す。
仕事は順調に進み最近はメディアや雑誌を月に一度程度なら受けるようになった。あいつがみるかも、何ていう女みたいな考えからだ。
ピーンポーン、ピーンポーン
朝っぱらから鳴り響くインターホンに起きたての爆豪は苛立ちを含んだ声で誰だ、と言いながら扉を開けてさらに顔が歪む。
｢･･･あ？｣
｢挨拶もまともにできないのね。久しぶり、｣
スーツ姿なのに目立つ大きな胸、金髪美女。
リーの姿に爆豪は扉を閉めようとしたが足を挟み込まれ、無理矢理入られる。
｢朝からなんだテメェは！？何時だと思ってんだ！｣
｢6時よ！何が悪い！｣
｢悪いに決まっとんだろうが！常識ねーのか！ホルスタイン！｣
｢ホッ･･･！？｣
返す言葉が見つからず悔しそうな、恥ずかしそうな複雑な表情のリー。少ししてため息を吐くと悪かったわね、と言う。
｢なんで来た｣
｢深い意味はないわよ。こっちで仕事があるから、あの方に許可貰ってここに暫く住むことになったのよ。｣
｢･･･あいつは、今、何してんだ｣
｢極秘だから、下っ端の私には何もわからないわ。｣
それより、と扉を全開にすると脇に置かれた箱を次々に入れる。
帰れ、と何度も言い続ける爆豪を無視してリーは箱を開けて荷物を出す。もういる気満々のリーに爆豪は舌打ちをする。
｢舌打ちなんて品がない、これから一緒になるんだしそんな態度やめて欲しいわ。｣
｢まずは俺の許可を取れや｣
｢どうせダメって言うでしょ。｣
リーは立ち上がり、爆豪の前へと来る。
外国人というだけあって女性にしては高い身長のリーにデケェなんて爆豪は思う。
｢あの人が帰って来るかわからない間は私がいてあげる。文句ある？｣
｢大有だ｣
そうは言ってもそれ以上爆豪は何も言わなかった。
キッチンへと背を向けた爆豪は余りにも寂しそうに、悲しそうにリーには見えていた。
『彼の側に居といて、それが君の仕事。よろしくねー』
昨日の電話を思い出したリー。
わざわざライバルにこんな仕事を任せるなんて、とは思った。仕事内容外の連絡なんて全くしない人なのに･･･
｢ライトさんはーー｣
『俺は本当に必要な時に戻るよー、彼が求めた時に、寂しい時に戻るよ。』
そう言って切られた電話をただただ呆然と見つめた。
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (
レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます！感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます！ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年12月23日 10時
