○30 ページ30
爆豪は息を吐くと何時ぞやの様に体をズラすと千人の体はそれに合わせるように膝へと落ちる。
「お願いに有効期限はあんのか?」
『ないよ?』
「ならよ・・・」
一度、言葉を飲み込んだ。
また帰って来い、それはこいつに嘘をつかせるかもしれない。俺はそれを避けたかった。
守られるかもわからないお願いをわざわざするほど馬鹿じゃない。
「キスさせろや」
『ーー意外、だね?』
目を丸くさせる千人はきっと、俺と同じことを思っていたはずだ。
あほ面の鼻を摘み、顔を近づける。
「いいのか、よくねぇのか答えろや。じゃねーとするからな!」
『・・・っはは、いいよ。してくれ。』
伸ばされる手が首を撫で、髪に触れると爆豪の動きに合わせて下へと力を入れる。
薄く上げられた口へと軽くキスを落とす。
目が合い、千人の紫色の瞳が光を含んできらきらと輝く。それは細められもういいの?そう聞いてるようだった。
「たんねーわ、」
苛立ちとか、寂しさとか、それらを全てこれでチャラにしてやる。
有難く思え、俺がこれで許してんだ。
「名前、教えろ」
最後の質問、千人は爆豪の目を真っ直ぐに見つめる。
『ーーA』
二度は言わない、一度きりの答え。
爆豪は何度もその名前を呼んだ。
その度に嬉しそうに微笑むAにまた、口付けた。
朝になれば昨日と同じまま部屋が残されていた。メモも何も無い。いつもと何も変わらない風景なのに寂しさだけが部屋を漂う。
「早く帰って来い・・・バーカ」
爆豪の声が響く。
優しい日差しがカーテンの隙間から差し込み、爆豪を優しく包み込む。
それに甘える様にソファに腰掛けると隣に不在の人の匂いを微かに確かめる。肩が暖かくなるにつれて体温の様に感じる。
俺はいつまで待てばいい?
答えてくれや
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます!感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします! (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます!ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります! (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:秋雨秦 | 作成日時:2017年12月23日 10時