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結局電話は繋がらず、音信不通で1週間ほど経った頃だった。
『あ！おーい！』
見回りをしていた俺の真正面から手を振りながら走ってくる女の姿。思わず顔を歪めて辺りを見渡したが、俺しかいない。
女は目の前で止まるときらきらと目を輝かせる。
『事務所出来たよ！』
｢あ゛？｣
『見に行こいよ！君のために早くしてもらったんだぁ。楽しみだ。』
爆豪の腕を引く女。爆豪はそんなことをお構い無しに引き返すと、女は後ろに倒れ、目を丸くする。
誰だテメェ！その叫びに女はあ、と手を鳴らす。その仕草に見覚えがあった。
『ほら、１週間前？かな？不動産屋の前で会った！』
｢･･･俺が会ったのはこんくらいの中坊だ。｣
『そうそう！それ！』
｢･･･てめぇ、ふざけてんのか？｣
違うよー！と地団駄を踏む。
『個性！個性で姿変えてんの、今日はこれだけど昨日はおじさんだったんだよ。あ、見る？』
ほらぁ、と写真を押し付けるように見せてくる。破天荒極まりないこの人物に爆豪は着いていけず、ただ睨む。
爆豪のそんな目に相手が数度頷く。
『見たら分かる！来て！』
｢！、引っ張んじゃねぇ！｣
軽やかに立ち上がったそいつに引かれるがままに着いたのは、最近出来た高層マンションで不動産屋に張り出されていたものだった。
実をいえば爆豪も目を付けていた建物で、一部屋だけでも値が張るのにそれを丸ごと買い上げ、その上改装までしたという。言わばビル同然。
『あ、内装はちゃんと建築家に頼んだよ。どう？どう？家政夫なってくれる？』
｢･･･家政夫なんてそういうところ行けばあんだろうが｣
『ん〜そうなんだけどね。』
俺である必要は無い。その意味も込めた質問を投げかけたのに、こいつはそれを理解してなのかあっさりと答えた。
『君が気に入ったんだ。他意はないよ。』
｢･･･そうかよ｣
人が変わった様な真剣な口調に爆豪は圧された。それと同時にこの人物の本質を見たような気がしていた。
で、なってくれる？そんな目を爆豪に向ける。ここまでしてもらって断ることも出来ない。
｢チッ、なってやる･･･｣
『ん？』
｢なってやるって言っんだよ！｣
ボンッと爆発音を鳴らす。
爆風に揺れた髪がきらりと光りよろしく、と爆豪に握手を求める。不本意ながらも握り返す。
そうして意味のわからない奴に乗せられて同居が始まった。
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (
レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます！感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます！ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年12月23日 10時
