○１９ ページ19
『ほらほら、二人してムスッとしないでー』
同じ食卓を囲むことへの不本意から二人の顔は不機嫌丸出しだ。
爆豪はリーとほぼ互角であること、隣の千人があまりにも強く、歯が立たないことへの苛立ち。リーは爆豪に勝てないことへの不満。
『リー、彼のご飯美味しいでしょー？』
｢･･･まぁ、悪くはないと思います。｣
『素直じゃないなー！』
いつも通りうるさいばかりの千人。たらふく食べた後はソファで寝落ちてしまい静かになった。
お気に入りだという毛布をかけている爆豪を見ているリーに爆豪はんだよ、と睨みつける。
｢この方、なんて呼ばれているか知ってる？｣
｢知るかよ、｣
｢"light"｣
｢光？｣
そう、と飲みかけのコーヒーを片手にソファの淵に腰掛けると千人の髪を指ですくう。リーの目は愛しさを含んでいるようにも見え、爆豪は疎くなって目をそらす。
｢子どもたちが付けたのよ。いつも笑顔で、優しくて、いつも会う度にいろいろなことを教えてくれるからって、希望の意味も込めてよ。｣
｢子どもってなんだ｣
｢一括りじゃない。戦争に巻き込まれた罪のない子どもたちのことよ、この方はいつもいろんなことを教えては守ってるの、意味の無い戦いはしない人よ。｣
意味の無い。それに思うところはあった。
リーは爆豪を見ると腰を上げて向かいに座る。
｢あなた、この人の名前知ってるんでしょ？｣
｢苗字だけな･･･｣
｢それって凄いことなの。あなただけが知ってるの、分かる？今、この世界で偉い人じゃなくて、あなたよ！｣
上の上司的なのだろうけど爆豪は知るか、と言わんばかりの態度を取る。それにリーは腹を立てることを諦め、睨む。
｢わたしなんて、わたしなんて･･･教えてくれたこともないっ、｣
｢！、あ！？なに泣いてんだ！？｣
突然ぼろぼろと泣き始めるリーに爆豪は近くのティッシュを力任せに机に叩きつける。
リーは溜まっていたものを吐き出すように大粒の涙を流し、嗚咽混じりに泣き続けた。爆豪はその間千人のが起きないか、リーが泣き止むのを珍しく気長に待った。
｢落ち着いたかよ｣
｢ええ･･･ありがとう。あなたって意外と優しいのね。｣
｢あ！？意外とってなんだ！｣
｢そのままよ。｣
リーは泣き止むなり笑い、千人のことを話し始めた。
戦場での千人は強く、美しいこと、姿は毎度違えど変わらない千人は名の通り光だという。それを聞いた爆豪は静かに息を吐いた。
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フィンランド製たわし - すごく好み (2018年3月29日 1時) (
レス) id: 674b68e11d (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 蒼葉さん» ありがとうございます！感動して頂けるとはっ、これからもよろしくお願いします！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉 - 面白かったです。感動しました。 (2018年2月12日 13時) (レス) id: 0d56540811 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - はるみんさん» コメントありがとうございます！ご指摘ありがとうございます、中々見返せないのでこうしたご指摘はとても嬉しいです。お気遣いまでしていただけてありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年1月31日 21時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
はるみん(プロフ) - 39話で“10分前”とか書こうとしたんでしょうけど、“10前”ってなっていますよ。 いつも楽しく読ませてもらっています。更新無理せず、頑張ってください。 (2018年1月31日 1時) (レス) id: 2b9a934708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年12月23日 10時
