伍 ページ6
｢1人では外に出るな。｣
そう言われたのも私は納得している。
この前の様に妖にいつ襲われるかも分からない日々、あの鬼が不在の今こそ、危ないのだ。
それでも、
『あ、猫だ。』
外には出てしまう。
言っても庭だ、庭･･･
この前襲われたのも庭だけど。
足に寄ってきてくれた猫を抱いて縁側に座る。
『お前は一体どこから来たの？』
みゃー
『最近よく来るね。』
ごろごろと喉を鳴らす。
最近の遊び相手であり、友人はこの白黒の猫だけ。
寂しい私の心を唯一癒してくれる。
抱き上げると心地良さそうに甘え声を出す。
私も頬ずりをした時だった。
『？、なんで匂いがーー』
｢A｣
『ぁ、おかえりな、さい･･･』
猫を抱いている手を後ろから掴まれる。
すると
｢やっぱりバレちゃった。｣
『え゛？』
ボンッと手に抱えていた猫が煙を上げ、私は鬼に後ろに引かれた。
煙の中、二つの何かが揺れてとんがった耳らしきものがぴくぴくと動く。
｢なにしてんだ･･･上鳴｣
かみなり、そう呼ばれる何かが姿は二尾の狐だった。
｢いやー、緑谷と飯田は会えたのに俺は会えてないって酷い！と思って！｣
｢あ、忘れてた。｣
｢なお酷い！にしても･･･可愛い子だよなぁ。撫でて貰ってる時気持ちよすぎて寝たもん、昨日。｣
｢昨日？｣と鬼は私を見る。
猫のことなんて話す必要がないと思った、まさかこんなことになるとは知らない。
狐はにやりと笑い、私を見ると｢また撫でてくれる？｣なんて聞いてくる。
『い、いえ、遠慮させていただきます。』
｢えー･･･でもまぁ、そんなに守らなくても俺は食わないけどな。｣
『？』
｢じゃあ帰るわ｣と手を振って庭から出る。
そんなに守らなくても、その言葉が何度も頭の中で繰り返された後にやっと気づいた。
私は鬼の、膝に座っていることに。
『ごめんなさーー』
｢上鳴はいつから？｣
膝から出ている左足を膝の中に入れられる。
『ここ、四日程です。』
｢そうか･･･あぁやって、抱いてたのか？｣
『いえ、抱いたのは初めてです。ひ、膝には乗せていた事はありますが、それは、知らないでーー』
｢A｣
名前を呼ばれて肩が揺れる。
鬼は怒っているのだろうか？
なにを？なんで？
その答えはすぐに聞けた。
｢俺も撫でて欲しい。｣
『へ、』
ダメか？と、上目遣いで言われる。
私はこの鬼に弱いみたいだ。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
