肆拾 ページ42
喉が、身体が焼けそうなほどの痛みと熱が体中を蝕む。熱い、熱い、熱い！そんな叫びも喉の痛みででない。
焼け焦げてしまう。
誰か、助けて
消えそうな何かを掴んでは離して、掴んでは･･･繰り返している。誰か、誰か、とまた呼んでいた。
誰かがいた。けどその人は居なくなってしまう。
何かを言って、何かを残して。
待って、待って、待って、手を伸ばしたくても伸ばせない。寂しげな背中が朦朧とする意識の中で見えた。
その人を誰か救って、散りばめられた意識の一部でそう思った。
もう誰もいない。寂しい、苦しい。
そんな時に手の焼ける痛みが無くなった。
心地いいその何かに引っ張って欲しくて、
｢A｣
心地のいい声が私を呼ぶ。
暑いのとは別に温かい。
優しい温かさ。
それは愛しさにも近い
身体の内から冷めていく。熱が焦がすような痛みが消えていく。
熱で開けられなかった瞼をゆっくりと開ける。
『ーー･･･は、』
息が震えた。
グレーとアイスブルーの瞳に私が写っている。さらさらとした紅白の髪が見える。
そっと火傷に触れると私の手に猫のように擦り寄るその人が、愛しくて、目の前にいることに涙が流れる。
『焦凍』
名前を呼ぶと微笑む。柔らかく下げられた眉が愛しさを含んだその声で私を呼び返す。
｢A｣
私達二人の時間を埋めたのはこの瞬間
『待っていました。貴方を、ずっと』
言葉なんて返さなくていい。
優しく抱きしめてくれるその身体が何よりの言葉になるのだと、焦凍は知っている。
普通では起こり得ないダイヤモンドダストがこの時、この室内で起こり私達を包み込んでいる幻想的な瞬間は私たちしか知らない。
｢ゆっり話そう･･･｣
小さく頷き返すと私たちの長い長い時間を言葉で埋めるのにそう、長くは語らなかった。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
