参拾伍 ページ36
爆豪勝己 側
りくというガキは親に捨てられ、運良くもAに拾われた。本当に運の良いガキだ。
そのガキのお陰で俺が聞けなかったことをあっさりと聞いてみせる。
『私の個性？』
｢うん！かつきはゆーめいだから知ってるけど、お姉ちゃんのは知らないから。｣
『大した個性じゃないよ。』
ソファでそんな会話をする。
飲み物を作りながら聞き耳を立てる。
『私の個性は"鬼人"』
｢きじん？｣
『そう、鬼人。鬼の様な強い力や五感、姿になったりするけど、使ったあとのリスクの大きい個性なの。だから使わないの。』
｢りすく？｣
『疲労とか、筋肉痛になって暫くは動けなくなるの。』
あと、角。と髪を分けて小さな凹凸を見せる。
鬼人、まるで呪いの様な個性に複雑になったのは俺だけだ。あいつが、こいつに鬼火を入れていたのは知っている。もしかしたらそれのせいなのかもしれない。
ここにきてあいつの顔を浮かべないといけない苛立ちがくる。
｢すっげぇ！じゃあお姉ちゃん強いんだ！｣
『んー、戦ったことないから分からないけど･･･爆豪さんは凄く強いよ。ね？』
｢あ？｣
急なフリに思わず声が上擦った。
りくは｢知ってるー！｣とはしゃぐ。この空間が家族見たいだ、と思うことは言えるわけがない。
飲み物を出してやれば二人して嬉しそうにする。それにまた一つ上、あいつが知らないひと時ができた気がした。
この時間が続くと思った俺は
｢A！俺はっ、｣
やめろ
｢もう｣
やめろ
｢どこにも行かねぇからっ！｣
好きな奴の腕を、泣いているその顔を隠すように･･･あいつから離すように腕を引く羽目になるとは知らず、今この時を穏やかな目で見つめた。
『じゃあ、行ってきます。』
｢じゃーなー！かつき！｣
｢呼び捨てすんなボケ。｣
りくの丸い額を軽く弾く。
へへへっとガキらしい笑顔を見るのは今日までだ。たった1週間、Aがその間母親を探して話をしていた。
つい4日前には顔を腫らして帰ってきた時には流石の俺でも驚いた。
『大丈夫、頑張るから、』
強い眼差しはりくのための眼。
俺もできる限りのことをして、なるべく本人に悟られないように動いた。そうして慌ただしかった1週間も今日で終わりというわけだ。
｢ばいばい、かつき｣
｢おう、じゃーな。泣くんじゃねぇぞ。｣
｢泣かないよ！｣
ずっと鼻を鳴らすりくとハイタッチを交わした。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
