参拾参 ページ34
『行ってきます。』
｢おう｣
気分転換というのも必要だと、思った。
つい四日前の晩、私を寝室まで運んでくれたのは爆豪さんでは、無いらしい。
｢クソナードだろ｣
『？』
緑谷さんの事が嫌いなのは知っている。幼馴染みで前世から、知っていはいたけどこの時の爆豪さんはおかしく見えた。
なにが、とかはないけど何となく不自然に見えた。
残念ながら爆豪さんは仕事があって一緒には出かけられなかった。ヒーローとは本当に多忙だなっと常々思う。
(爆豪さん、最近疲れてるよね･･･)
日頃から迷惑ばかりかけている。その意味も込めて爆豪さんの好きな物を作ろう。いらねぇ！なんて言っても彼は食べてくれる。優しい人だ。
自然と口角が上がる。傍から見れば変な人かもしれないが、気分の良い私には関係が無かった。
｢ままぁー！ままぁー！｣
ショッピングモールというのは迷子が多い。それを見て見ぬフリをする人はもっと、多い。
来て10分程しか経っていない。特別急いでいる訳でもないので子どもの前に歩み寄り、目線を下げるためにしゃがむ。
『こんにちは。ママとはぐれたの？』
ぐずぐずになった少年の顔にティッシュを当てながら聞くと何度も頷く。
『じゃあ、お姉ちゃんと探そう。お名前は？』
｢りぐっ、｣
『りくくんね。じゃあ、お母さんはどんなお洋服を着てたかな？』
蹲るりくくんを抱えるとゆっくりと話を聞く。途中、ママは怒ると怖い、とかそういうことを言って笑う。
迷子センターという手もあったけどりくくんは嫌だと首を横に振った。
『もう、お昼になるね。りくくんのお母さんはなにか食べるって言ってた？』
｢･･･｣
『りくくん？』
途端に黙るりくくん。ベンチに座ると話すまで待つことにした。
この1時間の間でまだ5歳だと、不自然なのはなかなか迷子のアナウンスが無いこと。流石に1時間も経てばお母さんはアナウンスをかけると思うのだが。
ふと、思ってはいけないことを思ってしまう。
『りくくん･･･』
｢ままは僕ののこときらいなんだ。｣
『･･･』
思っていたことは当たりなのかもしれない。りくくんを抱えると人気の少ないベンチへと移動した。
少しばかり冷たく感じる小さな手を握った。
『りくくん、無理に話さなくても良い。ただ、お姉ちゃんの質問に頷いてくれるだけで良いの。良いかな？』
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
