弍拾玖 ページ30
爆豪勝己 側
飲み会なんてのは普段は参加しない。
クソ髪野郎が
｢爆豪も来るって言っちまったんだよ、悪かったって！｣
降参するように手を上げるクソ髪。悪気がないのがムカつく。それを言う代わりに掴んだ胸倉を押した。
一番嫌な奴の顔を見ないといけない状況。クソ髪は何処と無く分かっている。
｢本当に悪いと思ってるけど、やっぱり皆で話してぇから。｣
｢･･･知るかよ｣
チッと盛大に舌打ちをしてやる。
あいつの飯が食いてぇ、そんなことを思いながら苛立ちをヴィランにぶつけた。
｢かんぱーい！！｣
黒目が何の祝なのか意味もなくグラスを合わせる。俺はする気もなくイライラとする。
よりにもよってこいつが隣だ。
｢悪ぃ爆ごーー｣
｢話しかけんなや！クソが！｣
ビールジョッキを机に叩きつける。
俺の心境とは真反対のおめでたい頭をした轟が唐揚げを見つめて黙り込む。その皿を取って押し付ける。
｢ありがとう。｣
｢話しかけんなって言ってんだろうが死ね！｣
｢･･･悪ぃ｣
何も知らないその澄ました態度に余計に苛立つ。それに便乗して酒を煽る。
ビールから焼酎、チューハイ、店にある半種類ほどの酒を飲み終えた頃だった。酔いが回り始めていた。
｢･･･｣
｢チッ！見てんじゃねぇよ！さっきからなんだボケが！｣
｢･･･飲み過ぎじゃねぇか？｣
｢うっせ！｣
酒には強いがこの時は疲労と苛立ちで回りが早かった。
それでも自分の目の前に置かれた大量のグラスを睨み付け、煽り続ける。
｢おいおい、爆豪大丈夫かよ？｣
｢流石に飲みすぎだって、｣
そんな声にもお構い無し。
酒を煽りながら隣でちまちまと枝豆を摘む轟を睨む。不意に、Aの顔が出てくる。
(あいつ、何してんだ･･･)
携帯を取り出し、揺れ気味の視界で画面を見る。21時を回ったのを見て何を思ったのか電話帳を開け、｢A」と見えて押した。
プルルルル、プルルルル･･･
コール音が1、2と数えているとアホヅラが｢誰に電話！？｣と叫ぶ。間髪入れずに殴った。
『･･･爆豪さん？どうしたの？』
｢･･･何してんだ。｣
『今仕事終わって、帰り。』
不思議なトーンの声と共に、がさがさと準備をする音がする。
『爆豪さんはどうーー』
｢どうもしねぇよ、死ね。｣
一方的に電話を切る。
暫く携帯画面を眺め、自分の行動と酔いから馬鹿らしくなっているうちに意識を手放した。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
