壱 ページ2
雪がちらちらと降り、息を吹けば白くなる。
積もった雪が素足によく響く。
村で1番の上質な糸で作られた白い着物を身に纏い、結ばれた腕から伸びる紐に、引かれるままに歩く。
私は生贄として選ばれた。
村のために、妖からの手を遠ざける為に。
私がそうなった。
｢ここだ、｣
ついた場所は森深くにある社は
神様と妖の境目を繋ぐと言われている。
私はその一畳ほどの広さの、腐敗のある気の上に座る。
｢すまねぇ、村のためだ｣
『･･･謝らないで下さい。こんなに嬉しいことはないです。』
笑って言うと、連れてきてくれた二人の殿方は戸を固く閉めて2度と振り返ることなく行ってしまう。
一人になった。
妖はいつになったら現れるのだろうか？
私を食らい、次の村へと行くのだろう。
私はそうして村を救うのだ。
そうだ、それが正しい道。
頭の中を空っぽにすると、目を瞑る。
怖い、帰りたい、嫌だ、それらを消すように息を吐く。
『神様、私の様な者に意味をくださり感謝しております。どうか見届けてください。』
それを最後に私は口を閉ざした。
夜の山は村よりも一掃に冷え、外と肌とを布一枚では温めることも出来ず意識が朦朧とする。
まともに座ることも出来なくなってしまい横に倒れる。
吹雪く外を見つめる。
『･･･母様、』
手を戸に伸ばすが、寒さで力のない私は揺らすことも出来ない。
生きたい、と思う意志とは反してもう死ぬんだ、と悟る。
(お母様、ごめんね･･･)
意識が遠のき、微かに灯りが迎えに来る。
そうしては私は静かに眠った。
『ーー･･･』
ここは天国だろうか？
まるでいつしか行った、都の宿のような綺麗な天井に、綺麗なお布団。
ぼんやりとしていたはずなのに、一気に目が覚めた。
『っ！』
周りを見渡すとなんてことの無い１室、天国ではない、それはもう分かった。
『ここ、は･･･いっ、』
立とうにも痛む足。
見ると青白く、凍傷によってのもの。
あと少しで腐る所だった。
『だ、誰かおりませんか？』
聞こえるわけもない小さな声が出る。
しんっとなる部屋、混乱する頭で項垂れた時だった。
シャッ、と音を立てて障子が開けられた。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
