HARU 【男主】【HQ!】

: ページ22

.







「はい次〜 春姫取りに来い」
『……』





憂鬱。この2文字に尽きる。
朝から有り得ないくらいニコニコの赤葦に「今日は何の日でしょう」と話しかけられた時から人生が暗くなったもん。

今日はテスト返却の日。数学の時間だ。

いや今回は頑張った。
バレー部テスト勉強後も家でちょっとはしたし、テストの日も先生に愛嬌振りまいといた。






「はやく取りにこーい」





少し離れた席に座る赤葦を見ると、相変わらずの(目が笑っていない)素敵な笑顔で俺を見ていた。
あんな赤葦、バレー中はおろか私生活でも見れんぞ。








『先生…おれ…かわいかったですよね…』

「はあ？なんのことだ」

『先生のために可愛く振舞ってたので点数高いですよね…』

「嬉しいこと言うなあ、だが点数は変わらん。
　お前が何点を目指してるか知らんが 頑張れよ」

『ガンバレヨ…！？』




点数は見せないように渡してきた先生の目を見るとウインクされた。アラサー男のウインクは要らねえんだよこちとら。

これ赤点だったらどうなるっけ。
遠征は東京だから行けるけど遅れるよね。遅れたら他校からバカにされるよね。特に音駒のトサカとかね。
いやすぎる。


自分も点数を見ないようにして赤葦の席へ向かう。
一人で見ても赤葦と見てもどうせ結果は教えなきゃだし。







赤葦「…見たの？」

『見てないです』

赤葦「はやくみようか」

『あああ乱暴！おれのテスト奪われた！変態！』

赤葦「変態は違うだろ」





毎テスト恒例になっているこのやり取りをクラスメイトは楽しそうに見る。お前らはいいよな、遠征無くて。

奪われたおれのテストを必死に掴もうとするけどムリ。
諦めて赤葦が折りたたんである点数の部分を開くのを待つ。

この学校の赤点は40点。
高望みはしない。40点でいいから、おねがい。








赤葦「はい、せーの___」










.

:→←: 梟は勉強したい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す