きらきらお友達2*M ページ32
『からす！』
と、きたみつがｶﾗｽの子へ笑いかけた。
その子はびくっとしてきたみつへ視線を落とす。
『おれ、みつ！あそぼーぜ〜』
手を伸ばすきたみつをﾆｶが掬い上げ、ｶﾗｽの子へ近付ける。
ｶﾗｽの子はぎゅっとﾆｶにしがみつき、きたみつを見ようともしない。
『なぁ、なまえは？』
『…』
『なにしてあそぶ？』
『…』
『…おれと、ともだちになろうぜ？』
『やだっ！』
控えめに差し出したきたみつの手を、ﾊﾞｼｯと払いのけたその子。
俺もﾆｶも驚いて目を丸くすると、きたみつはちょっと泣きそうになるのを堪えている。
『…どうして？おれ、なんかした？』
『ともだちなんて…っきらいだ！あっちいけっ！』
ｶﾗｽの子はﾆｶにしがみついたまま、ぽろぽろと泣き出した。
泣きそうになっていたきたみつはその涙を見て、しょぼんと俯いてしまった。
「…みつ、みんなの所行こうか」
『…にかいど。おれ、ひとりで…もどれる…』
「みつ…」
『だから…そのこの、そばにいてあげて…』
きたみつは俯いたままﾆｶの手を降りると、ﾄﾎﾞﾄﾎﾞとみんなの部屋へ歩き出した。
ﾆｶはｶﾗｽの子を撫でながら、困ったように俺を見る。
「…きたみつ、俺と戻ろ」
『……みやた…あのこ…』
「大丈夫。ﾆｶがいるよ」
俯いたきたみつを掬い上げると、とうとう泣き出してしまった。
なるべく優しく撫でながら部屋を開けると、いち早くがやさんが飛んできた。
『きたやまっ！？きたやま、どっかいたい？』
「大丈夫だよ」
『みつ、どうしたの？みあた、いじめたの？』
「いたたたた…違う違う」
がやさんの声にたまも駆けてきて、足首を嘴でつつかれる。
室内にいた預けられた子たちも心配そうに寄ってきた。
きたみつは慌てて涙を拭うと、いつもの笑顔を見せた。
『ごめんっ、だいじょうぶ！あそぼーぜっ』
明るい笑顔にみんなもぱっと表情が華やぎ、きたみつはいつも通りみんなの中心になって遊びに入る。
ぱたぱたと駆け回り始めたみんなを見届けると、俺は職員室へ戻った。
「ﾆｶ、どう？」
「うん、寝てくれたよ」
着替えを終えたﾆｶが、机の上にﾀｵﾙを敷いてｶﾗｽの子を寝かせていた。
すやすやと寝息を立てる黒い体を撫でているﾆｶは、ほんの少し眠そうだ。
「みつは？大丈夫だった？」
「うん、みんなと遊んでる。俺なぜかたまにつつかれたよ」
ﾆｶはｸｽｯと笑うと、ｶﾗｽの子を撫でながら小さく欠伸をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 322人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
谷森山(プロフ) - たまちゃんさん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)可愛いと言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます(*^^*)！ (2015年10月5日 20時) (
レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - はじめて読みまして。かわいい〜アニマルさんにゾッコンです。 (2015年10月5日 19時) (レス) id: 6b828e5d7b (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - tanaさん» ありがとうございます(*^^*)！飛び出た目はちゃんと鼻から仕舞っておきましたのでご安心を(*^o^*)笑 こちらこそ、いつもお付き合いくださり本当にありがとうございます！励みになっております(;_;) (2015年10月5日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
tana(プロフ) - 続編嬉しいです！アニマルさん可愛がりますよ〜( ´ ▽ ` )その前に飛び出た目は口から戻していただいて…笑 いつも楽しませていただいてありがとうございます(｀_´)ゞ (2015年10月5日 1時) (レス) id: 2c098967d9 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - Yumeさん» ご意見ありがとうございます(*^o^*)続編希望、全力で受け止めました！ありがとうございます(*^^*)笑 (2015年10月4日 3時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
