胸ポケットには千日紅を【雪男】

アクアマリンの投げキッス！2*dt ページ39

そして朝、帽子とタスキを装着して蓮を起こしたんだけど、【本日の主役】が読めない蓮は眠そうな目でポカンとしてた。

朝食を用意していた翔太がそれを見てブハッと笑ってたけど、着替えの際「今日パパの誕生日だよ」って教えてくれたみたい。


「ぱぱ、おめっとぉ！」

「ん、ありがとう」


ぴょこんと寝癖のついた蓮が、ぎゅうっと抱きついてくる。

何よりも嬉しいプレゼントだ。







「宮舘さん、おはようございます」


保育園に蓮を預けて仕事へ向かう途中、後ろから声をかけられた。

振り返ると制服を着た阿部が居て、小走りで駆け寄ってくる。


「おはよう。いまから学校？」

「はい、康二を保育園に預けてきたところで。…あっ、宮舘さんお誕生日って佐久間さんから聞きました！おめでとうございます」

「ありがとう」


佐久間、照、ふっかからは夜中のうちに誕生日おめでとうと連絡が来ていた。

たぶん阿部は寝ていたか、夜分に連絡するのは失礼かもと考えたかのどちらかだろうな。


「みんなでお祝いしようって思ってたんですけど、俺今日バイトがあって。これだけお渡ししておきますね」

「…ありがとね。ほんと、蓮には阿部みたいに育って欲しいよ」

「え！？あ、ありがとうございます？」









仕事を終えて帰宅すると、既に帰宅していた翔太が夕飯を用意してくれていた。

おかえりと微笑んだ翔太はコンロの火を止めて、そそくさと自室へ向かう。

何やらクローゼットをゴソゴソしてから戻ってきた手には、ちいさなワインレッドカラーの手提げ袋。


「誕生日おめでとうございます」

「いいの？体でももらっちゃったのに」

「…正直体の方が誤算でしたね。こっちの方が先に用意してたんで」

「あははっ。ごめんごめん、ありがとう」


ぎゅっと抱きしめると、恥ずかしそうに染まる耳。

かわいいですね、世界遺産に登録しましょう。




「ぱぱ！おかえり！」


部屋でお絵描きしてた蓮が、リビングに来るなり飛びついてきた。

かわいいですね、天然記念物に指定しましょう。


「ぷぇぜんと！」

「蓮が描いてくれたの？ありがとう」




翔太を片手に抱きしめながら、片手で蓮を抱きしめる。

当たり前の日常だけど、大切な、だいすきな家族。



(…毎日が誕生日みたいに、特別幸せなんだよなぁ)




なんて思えるぐらい、生まれてきたことに誇りを持てるんだ。

…なんちゃって。




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地味にタイムオーバーすみません！舘様おめでとうございました！

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