抱えきれない幸せも。5*sk ページ33
無事…と言ったら語弊があるけど、懇談会を終えた。
最終的に大人しくなったおばさんたちは、謝って来たりはしなかったけど嫌味も言わなくなった。
べつに俺に謝られても意味が無いし、もう言わないならそれでいい。
担任の先生にもお騒がせしました、康二をよろしくお願いしますって頭を下げてきたので、帰ろうと保育園を出た時。
「さっく〜ん！」
両手を広げて、ぱたぱたと駆け寄ってくる康二。
膝を着いて受け止めると、康二の後ろからひょっこり阿部ちゃんも来た。
「どしたの？保育園に忘れものあるなら、連絡してくれればついでに取ってきたのに」
阿部ちゃんは黙って俺の前にしゃがみ込み、康二ごと抱き締めてきた。
ふたりまとめて抱き締め返したけど、ギュッてするには絶妙に腕が届かない。なんかもったいない気分。
阿部ちゃんは俯いたまま顔を見せてくれなかったけど、ぽろりと涙が落ちるのが見えた。
「……泣いてんの？」
なるべくやさしく頬を撫でると、ゆっくり顔を上げてくれた。
ぽろぽろ涙が溢れてる目は既に赤くて、泣き始めたのは今じゃなさそう。
ぎゅっと唇を結んだ阿部ちゃんは、鼻を啜りながらちいさく言葉を紡いだ。
「…っ、あり、っがと……ぅ、おれっ……うれし、っ…」
何に感謝されてるのかわからず首を傾げると、康二がぺちんと俺の唇を叩く。
「さっくん、きゃんめーくってなに？」
「………エッ」
「じぅっちゅあーと？ってなに？」
「………待って、まさか…」
「あべちゃんのこと、いつからりょーへーってよぶようになったん？」
「……………………聞いてらっしゃいました？」
阿部ちゃんはおおきく頷く。
ｴｰｰｯ恥ずかし。って思ったけど、本当のことを言っただけだからべつにいっか。
「…まぁ、……家族なんだからさ、守らせてよ。ふたりのこと」
「さっくん、かっこいー！」
「でっしょ〜！？もっと褒めて！」
「ひゅー！」
「……うん、ほんとに……かっこよかったです」
「エッ」
阿部ちゃんはふわっと康二の目元を手のひらで隠すと、そっと俺の唇にキスをした。
触れるだけのやさしいキス。ちょっと照れくさそうに耳を赤くするのが、可愛くて仕方ない。
「すきになって良かった。…大介さん」
そんなかわいいこと言われて、我慢できる男いる？
勢いよく抱きついてもっかいキスしようとしたんだけど、安定の平手打ちをいただきやした！
俺の未来の奥さん、ツンデレできゃわいい〜！
17時、延びる影の黒。1*sk→←抱えきれない幸せも。4*ab
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谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！あんまり楽しいお話ではない物が続いて申し訳ありません🥲今後のお話は楽しさだけでない物も多くなってきますので、御理解いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします🥺 (4月17日 0時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
まりそう - いつも楽しく読ませていただいてます。とっても癒されてます。更新されるお話を楽しみにしています。3家族のぼのぼのとしたにぎやかな楽しいあたたかいお話しがみたいです。 (4月14日 16時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - Blueい。さん» コメントありがとうございます！平仮名ばかりで読みづらかったと思いますが、感動していただけて嬉しい限りです🥺✨今後もよろしくお願いいたします🥰 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！お気に召していただけて何よりです🥰結婚式のお話は、構成上割と先になる予定です。お待たせして申し訳ありません💦御理解いただけますと幸いです🙏 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
Blueい。(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！蓮くんの逆サプライズが本当にいいお話すぎてコメントさせていただきました。小説を読んでて初めて泣きました…！笑 これからも応援してます！！ (2月16日 23時) (レス) @page28 id: 173db89271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2024年1月15日 10時
