抱えきれない幸せも。4*ab ページ32
「もう、だから保育園に持ってっちゃダメって言ったのに」
「みんなに、じまんしたかったんやもん!」
予定より早くにバイトが終わったので、深澤さんの元へ康二を引き取りに行った。
そしたら冬休みに作ったガラスプレートのキーホルダーをなくしたみたいで、結局保育園へ探しに行くことに。
懇談会が始まって30分。
この時間なら、遅れてでも俺が出るべきだったかな。佐久間さん大丈夫かな。
砂場や遊具周辺を探してもなかったので、教室にあるのかもとこっそり覗きに来た。
まだ懇談会の最中だから入ることは出来なさそう。
だけどちょっとだけ気になったから、ドアの陰に隠れて耳をそばだてた。
「あべちゃん?なんでかくれてんの?」
「しーっ。かくれんぼだよ康二」
俺にネチネチ嫌味を言ってきた、見たくもないおばさまたちが座ってる中、佐久間さんは堂々と立ち上がって喋ってる。
「…俺はまだガキだし、父親らしいことなんて何もできないかもしれないけど」
(…なんの話、)
「あの子たちをバカにする奴らとは、徹底的に戦います」
(……俺たちのこと?)
「戦うって、大袈裟ねぇ…」
「別にバカにしてるわけじゃないわよねぇ?」
ニタニタと、顔の笑いジワを深めるような笑顔。
佐久間さんはピクリと眉を動かした後、ふぅんと呟いて笑う。
「…じゃあ言わせてもらいますけど、あなたの香水、ジルスチュアートですよね?」
「あら、よくわかったわねぇ!新作のパッケージがかわいくて…」
「ジルスチュアートって、若くてかわいい女の子が買うからブランド保ってるんじゃないですか?あなたの年齢ではキツイでしょ」
「なんですって!?」
「それから隣のあなた、そのピンクリップはキャンメイクかな?いい歳なのにプチプラで似合わないコスメ買うの、やめた方がいいですよ」
「…まぁ、失礼しちゃうわ!」
「これと同じですよ、あんたたちがやってんのは。偏見で人のこと決めつけて、バカにする。…施設育ちだからって、俺の家族を散々バカにしてきたみたいだけど」
あまり怒らない佐久間さんが、本気で俺たちの為に戦ってくれてる。
そう思うと、どんどん視界がぼやけてきた。
「絶対ゆるさない。今度俺の家族を傷つけたら、徹底的にやり返す。…2度と亮平と康二をバカにするな!!」
溢れる涙を止めることより、声を出さないよう堪えるのに必死で。
このひとを選んで良かったって、心臓がずっと叫んでるみたいだった。
抱えきれない幸せも。5*sk→←抱えきれない幸せも。3*sk
1147人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます!あんまり楽しいお話ではない物が続いて申し訳ありません🥲今後のお話は楽しさだけでない物も多くなってきますので、御理解いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします🥺 (4月17日 0時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
まりそう - いつも楽しく読ませていただいてます。とっても癒されてます。更新されるお話を楽しみにしています。3家族のぼのぼのとしたにぎやかな楽しいあたたかいお話しがみたいです。 (4月14日 16時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - Blueい。さん» コメントありがとうございます!平仮名ばかりで読みづらかったと思いますが、感動していただけて嬉しい限りです🥺✨今後もよろしくお願いいたします🥰 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます!お気に召していただけて何よりです🥰結婚式のお話は、構成上割と先になる予定です。お待たせして申し訳ありません💦御理解いただけますと幸いです🙏 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
Blueい。(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!蓮くんの逆サプライズが本当にいいお話すぎてコメントさせていただきました。小説を読んでて初めて泣きました…!笑 これからも応援してます!! (2月16日 23時) (レス) @page28 id: 173db89271 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:谷森山 | 作成日時:2024年1月15日 10時