スイートチョコより甘く。2*ab ページ23
施設にいた頃、バレンタインには中学でなぜか板チョコをもらうことが多かった。
食べきれないし施設には康二以外の子供も居たから、丸いケーキ型を2回使ってガトーショコラをよく焼いた。
それには保母さんも、おやつを用意する手間が省けるからか、はたまた彼女の口に合ったのかは知らないけどご機嫌だった。
だからこうやって、康二にだけ特別なラッピングをするのは初めてだったりする。
高校の友達はクラス全員にばら撒く勢いで、チロルチョコとか5円チョコを配ってる人が多い。
「手出して」って言われてマーブルチョコが降ってきたり。
中にはちゃんとラッピングされたチョコをくれた子も居て、律儀だなぁって。
「それは本命なのでは？」
「へ？」
「その水色の可愛い箱と、赤いラッピングと、お手紙ついてるやつ。明らかに本命でしょ」
もらったチョコをリビングの机に広げていると、佐久間さんがひょっこり覗きに来た。
たくさんもらった中に紛れる、きちんとラッピングされたチョコたち。
お手紙は俺が読む前に佐久間さんが「佐久間チェ〜ック！」って言いながら読んでた。
「…やっぱ本命じゃん。どうすんのよ」
唇を突き出して拗ねる佐久間さんから、お手紙を受け取った。
クラスメイトは全員仲良しとしか思ってないから、どうするも何もないんだけど。
「あ〜！阿部ちゃんが家に彼女連れてくるとか耐えれんよぉ！」
「え！？つ、連れてきませんよ！だって俺は…！」
「………俺は？」
「…え、っと…」
冷蔵庫に冷やしておいた、ピンクの箱を取り出す。
昨日見てたから、佐久間さんは中身知ってると思うけど。
冷えた箱を佐久間さんに突き出すと、ニヤリと口角を上げて俺を見つめてきた。
「…ん〜？なにこれ？」
「……知ってるくせに…」
「ね、阿部ちゃん。俺は…の、続きは？」
「…っぜ、絶対言わない！」
「なんでよ〜！」
だって俺は…佐久間さんっていう、本命チョコ渡す相手が居るから。
「きょうケーキやないん？」
「そうだよ〜。康二にはこれあげる」
「…おれの？これ、ぜんぶ！？」
「うん、全部康二の」
康二はオレンジの箱を開けると目を輝かせて、ぎゅうっと抱きついてきた。ンッ…かわいい。
みんなで食べるガトーショコラも喜んでたけど、自分だけ特別っていうのが嬉しいみたい。
こんなに喜んでくれるなら、バレンタインじゃなくてもたまにケーキ焼いてあげよっかな。
さすがに甘やかし過ぎかな？
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谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！あんまり楽しいお話ではない物が続いて申し訳ありません🥲今後のお話は楽しさだけでない物も多くなってきますので、御理解いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします🥺 (4月17日 0時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
まりそう - いつも楽しく読ませていただいてます。とっても癒されてます。更新されるお話を楽しみにしています。3家族のぼのぼのとしたにぎやかな楽しいあたたかいお話しがみたいです。 (4月14日 16時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - Blueい。さん» コメントありがとうございます！平仮名ばかりで読みづらかったと思いますが、感動していただけて嬉しい限りです🥺✨今後もよろしくお願いいたします🥰 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！お気に召していただけて何よりです🥰結婚式のお話は、構成上割と先になる予定です。お待たせして申し訳ありません💦御理解いただけますと幸いです🙏 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
Blueい。(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！蓮くんの逆サプライズが本当にいいお話すぎてコメントさせていただきました。小説を読んでて初めて泣きました…！笑 これからも応援してます！！ (2月16日 23時) (レス) @page28 id: 173db89271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2024年1月15日 10時
