深海たゆたう虹になれ。1*ab ページ18
「水族館に行きます！！」
「………はい？？」
退院して帰宅した瞬間、そんなことを言われた。
学校には怪我をしたから休むと佐久間さんが連絡してくれたみたいで、平日だけど1日お休み。
阿部ちゃんとお休みするって泣きながらも、保育園に向かった康二が頭をよぎった。
「…なんで今日なんですか？せっかくなら康二も連れて行きたいです」
「康二はまた今度ね。今日は水族館デートにしよ！ちなみに羨ましがると思うから、康二には内緒」
ほんとは、昨日のことを謝りたかった。
情けない姿を見せてすみません、助けてくれてありがとうございます、家庭訪問も…佐久間さんが居てくれてよかった。
全部言う前に、佐久間さんの運転で水族館まで来てしまった。
タイミングとか関係なく言わなきゃいけないんだろうけど、ウキウキで受付を済ませる佐久間さんの笑顔を、昨日の話で曇らせるのは嫌だったから。
平日の昼中、ほとんど誰も居ない水族館。
来るのは何年ぶりだろうか。小学生の時1度来たっきりかも。
康二は来たことないから、今度は康二も連れてきたい。
「…康二のこと考えてるな？」
「えっ」
「せっかくこんな綺麗なところ居るんだから、少しは見蕩れちゃえばいいのに」
おおきな水槽。サンマの大群が光を乱反射してまぶしいほどきれい。
時折照明の色が変われば、鱗に反射した光で俺たちの足元も色付く。
「……そう、ですね。きれい…」
佐久間さんがなぜ急に水族館だなんて言い出したのかはわからない。
でも実際、自由に泳ぐ魚たちはきれいだし、昼間なのに薄暗く蒼い空間はとても心が落ち着いた。
海の中を歩いているようなトンネルは、見上げると優雅に散歩するサメが通ってすごい迫力。
目を引くものを見つけるたび指を差して「すげー！」と笑う佐久間さんに、自然と俺も笑顔になる。
円柱状になったおおきな水槽を囲うようにある、螺旋階段。
半分まで降りたところで、不意に佐久間さんの足が止まった。
目の前をゆらめくクラゲたちは、光を通してとても幻想的に輝いている。
「…どうしたんですか？」
「………阿部ちゃん、いまから……たいせつなお話をします」
真剣な眼差しに、キュッと息が詰まる。
ドキッとしたとかじゃなくて、なんだか…怖くて。
佐久間さんが俺たちを傷つけるようなこと、言うわけないってわかってるのに。
できることなら聞きたくなかったけど、いつになく真面目な佐久間さんの声に耳を傾けた。
深海たゆたう虹になれ。2*ab→←イヌホオズキの嘲笑。4*sk
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
