イヌホオズキの嘲笑。2*sk ページ15
「…あれ？」
シャンプーの詰め替えとゴミ袋を手に、思わず呆然としてしまう。
阿部ちゃんに預けたはずの買い物カートが、売り場の隅へ追いやられて放置されている。
康二は？阿部ちゃんは？
辺りを見回しても姿が見えないので、カートにシャンプーとゴミ袋を放り込んだ。
邪魔になるといけないのでカートを押しながら、サービスカウンターで店内放送してもらおうかと思った時。
「ぅゎぁぁ〜…ぁ…ぁぁぁ…」
聞き覚えのある、おおきな泣き声。
嫌な予感がして、カートをガタガタ鳴らしながら走った。
出入口の前で、しゃがみこんで泣いてる康二。
店員さんが心配そうに声をかけてるけど、聞こえてないのかずっと泣き続けてるだけ。
「っ、康二！！」
「うぇ…っ、さっくぅあぁぁああぁ！！！」
俺の顔を見るなり、涙でぐちゃぐちゃの顔を更に歪めて飛びついてきた。
康二はよく泣く子だけど、こんなに震えてるのは見たことがない。
縋り付くみたいに俺の服を握りしめ、息も絶え絶えになりながら尚も泣くのをやめない。
「康二どうした？阿部ちゃんは？」
「うああぁあぁ！！ふぇっ、あぁぁ〜！あぇっ、あべちゃ、あべちゃんがぁああっ！！」
「…っ！阿部ちゃんが！？阿部ちゃんがなんだって！？」
「ぅ…っ、つれてかれちゃった゛ぁ゛あ゛〜！！」
康二が震える指先で、駐車場を差す。
心配そうに見つめる店員さんに買い物カートを預け、康二を抱き上げて走り出した。
(…バカかよ、俺は！)
いくら阿部ちゃんがしっかりしてるからって、まだ15歳。
康二も阿部ちゃんも、家族補正とか無しでめちゃくちゃ可愛いじゃん。
わるい大人が誘拐を企んだり、体を触ろうとしたりするかもしれないなんて、ちょっと考えたらわかる。
引き取ったからには保護者なんだから、俺が離れちゃいけなかったのに。
『阿部ちゃんが康二を守ってくれたみたいに、…俺が阿部ちゃんを守ってみせる』。
約束したじゃないか。
俺が守るんだって、もうこわい思いなんてさせてたまるかって。
『……ありがとう、』。
あんなに嬉しそうに、笑ってくれたのに。
少し走ったところ、あまり車も停まっていない砂利の駐車場。
思わず息を飲んだ。
体格のいい女性の足が、阿部ちゃんの頭を砂利に押し付けてる。
きれいな顔は傷だらけで、虚ろな目からは涙が、指先からは血が滲んでて。
「…さく、ま…さ、…っ」
脳内の血管が、ぶち切れる音がした。
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
