愛し友よ、憎しみは絶えん*3 ページ33
「うるっせぇんだよ変態大魔王が!」
瞬く間に辺りは白く光り、魔王は眩しさからか藤ヶ谷さんから距離を取ります。
聞き慣れた声に振り返れば、藤ヶ谷さんの背中から手をかざして魔術を使ったと思われる北山さんがいました。
「き、北山…」
「ばか正直に言うこと聞いてんなよ!知らないおじさんの言うこと聞いちゃいけませんっていつも言ってるだろ!?」
赤い魔術石を片手で握りしめる北山さんも、相当な恐怖と戦っているのか肩が震えています。
藤ヶ谷さんは改めて深呼吸をすると、気を取り直して魔王へ向き直りました。
「藤ヶ谷ひとりだけに戦わせるなんて事はしない、俺も一緒に戦うぞ…!」
「北山…ありがと!」
“グッ…ウゥウ…”
先ほどの光が効いているのか、魔王は不安定に形を変えながらよろめいています。
おぞましい赤い瞳が捉えた先には、意識を飛ばす横尾さんが。
“おのれ、見ていろよ!!”
「「!?」」
魔王は大きく膨れ上がると、横尾さん目掛けてどんどん細くなっていきます。
薄く開いていた唇の間を通り、魔王はそのすべてを横尾さんの中へ入れ込んだのです。
「渉っ!?」
その瞬間、バチリと目を開けた横尾さん。
その瞳は赤く、魔王のそれと全く同じでした。
「ふ、はははは…」
「…よ、こお…さ…」
「視えるぞ…タイスケ、ミツ…。お前たちとの懐かしい思い出が…!」
「ふざ…っ、渉を返せ!!」
藤ヶ谷さんは思い切って一歩踏み込むと、思い出に浸る魔王へ走り出します。
横尾さんの体を借りた魔王はそれを横目に見ると、にやりと微笑んで両手を広げました。
「斬るか!?俺を!殴るか!?…そう、昔…河原で見つけた光る石を、こいつが無くした時もお前は殴ったよなぁ!?」
「くっ…だまれ!渉が“殴ってくれなきゃ俺の気が済まない”って言ったからだ!!」
藤ヶ谷さんはぐっと握りしめた拳を、横尾さんの頬にぶつけます。
魔王はそれでも笑みを崩しません。
「そうか…お前はワタルに恋愛相談をしていたんだな?」
「うっ、うるさい!」
「ハハハハハ!“渉、俺…北山に告白する”か!甘酸っぱいことこの上ない!」
「だまれって言ってるだろ!!」
もう一度、もう一度と拳を握る藤ヶ谷さん。
殴る度に思い出を語る魔王は、さぞ楽しそうにせせら笑います。
「だがなぁタイスケ!!お前はワタルの事を知らなすぎるぞ!」
「…っ!?」
初めて拳を躱した魔王は、藤ヶ谷さんの胸倉を掴み上げました。
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは!とても面白いです!キスマイのファンの私にたまらなく好きです!特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります!続きを待っております! (10月3日 8時) (レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません(汗)今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね?!私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております!そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε` ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん(泣)涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの?・・・作者様の文才に感動!素晴らしいですね(((o(*゚▽゚*)o)))更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは!設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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