始まりの街*3 ページ4
「渉…だよな?」
恐る恐る歩み寄る藤ヶ谷さんに、名前を呼ばれた彼はゆっくり振り返ります。
ですが藤ヶ谷さんを視界に映す前に、別の人影がふたりの間に立ちはだかり、視線を交わす事は叶いませんでした。
「も〜、ほんっと探した!俺とわったーの魔力をふんだんに駆使してもこんなに苦労したの、玉が初めてだよ〜」
「…っ、はなせ…!」
「はいはい、ツンデレはいいから。宮田が待ってるよ、はやく行こ…」
「待てや!!!!!」
あまりにも早い話の展開について行けず、北山さんは思わず声を張り上げました。
玉と呼ばれた彼は、やっと藤ヶ谷さんと北山さんの存在に気付きます。
「嫌がってんだろ、放してやれよ!」
「は?部外者は黙っててくれる?」
「こんだけ派手に爆発起こしといて蚊帳の外にすんのか!いい度胸してんじゃねぇか表出ろや!!」
「ちょ、北山落ち着いて…」
端から見たら悪役のような北山さんを落ち着かせる藤ヶ谷さん。
黒い衣装を纏ったふたりは、そんな藤ヶ谷さんたちを見てポカンとします。
…と、その隙にふたりの手から逃れる玉さん。
「あっ、こら!」
「【“土”は“壁”】!“盾(シールド)”!!」
慌てて追おうとしたひとりと玉さんの間に、北山さんは呪文を唱えて瓦礫で壁を作りました。
逃げ込んできた彼を、藤ヶ谷さんはそっと支えて顔を覗き込みます。
「君、大丈夫?」
「…巻き込んでごめんなさい、俺は玉。あいつらには半年前から追われてる」
「半年も前から!?」
「お願いたすけて!なんでもします!」
玉さん…もとい玉森さん。
今にも泣き出しそうな瞳で、藤ヶ谷さんに抱きつきました。
突然の出来事に硬直するふたり。
すると、北山さんの作った壁が豪快に壊されます。
「…ふーん、魔術師か。…でも魔力はニカちゃんの方が上だもんね〜!」
自らをニカちゃんと呼ぶ彼は、一見普通の銃に手を翳し、魔力を固く丸めて弾丸として詰め込みました。
一発壁に放てば、豪快な音を立てて広範囲が崩れ落ちます。
それを見た時、北山さんの目は鋭く変わりました。
(…こいつ、強えぇ…)
北山さんの意志に反応して、首からぶら下げた赤の水晶が輝き出します。
「【込めるは“痺れ”】!」
「【“息”は“刃”】!“矛(ソード)”!!」
弾丸に込められた“痺れ弾”と、北山さんが短く吐いた息が鋭く尖っていく“矛”が交差します。
その瞬間、玉森さんは突然立ち上がって両腕を広げました。
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは!とても面白いです!キスマイのファンの私にたまらなく好きです!特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります!続きを待っております! (10月3日 8時) (レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません(汗)今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね?!私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております!そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε` ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん(泣)涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの?・・・作者様の文才に感動!素晴らしいですね(((o(*゚▽゚*)o)))更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは!設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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