俺の相棒ですよーだ!*4 ページ30
「…お、おさまった…」
「みたいだな…」
静かになった部屋を見渡すと、暴走した魔力によって出来た傷が幾つもありました。
藤ヶ谷さんはそれを見つめると、ハッとして千賀さんに駆け寄ります。
「健永!大丈夫か?」
「…ん、大丈夫。ふたりともごめんね」
二階堂さんはぐったりと、千賀さんの腕の中で脱力していました。
うっすらと開いた目で北山さんを見上げると、少しだけ眉根を寄せてゆっくり口を開きます。
「…みつ、ごめ…」
「気にすんなよ。誰だって間違えて成長するんだぜ」
北山さんには、なんとなくわかっていたのです。
二階堂さんが瞳の奥で見ていた、自分以外の誰かが居ることに。
「俺の白魔術が羨ましかったんだろ?…千賀は、魔術が使えないみたいだし」
一緒に強くなると誓った千賀さんと二階堂さん。
大人になるに連れ、二階堂さんはどんどん魔術を磨いていきました。
でも千賀さんは、一向に魔術を使える気配がないのです。
『魔術なんて使えなくても、俺戦えるよ』
へらっと笑う千賀さんを見て、二階堂さんは気が気じゃありませんでした。
(…魔術でバリアも作れないじゃん。武器を生み出すこともできないし…、戦わせたくない……俺が、もっと強くならなくちゃいけないんだ!)
『ニカ、一回手合わせ…』
『いや…俺もう少し鍛錬してくるよ』
そうして二階堂さんと千賀さんの距離は、どんどん開いていきました。
(…やっぱり俺が魔術使えないから、ニカ…愛想尽かせちゃったんだ…)
(俺が強くならなくちゃ。千賀を…守れるぐらいに…!)
魔王の復活は、そんな矢先の出来事だったのです。
「宮田の魔力は、圧倒的だった。俺たちの故郷を焼き尽くして、魔物をあちこちにのさばらせて。…たぶんその強さに、ニカは惹かれちゃったんだよね」
「…ん」
二階堂さんの瞳から、一筋涙が零れます。
久しぶりに感じた千賀さんの温もりは暖かく、とても心地よかったのです。
「…みつ、がやさん…ほんとに…ごめん…」
「ほんとだよ!もう〜」
「ちょ、藤ヶ谷!」
頭を下げる二階堂さんに、藤ヶ谷さんは大袈裟なほど嫌そうな顔をつくります。
それを制止しようとする北山さんを抱きしめると、今度は悪戯な笑顔で二階堂さんと千賀さんを見つめます。
「わかったでしょ?北山は、俺の相棒ですよーだ!」
「なっ…」
北山さんは耳まで真っ赤に染まり上がり、その様子を千賀さんはクスリと笑います。
「…ん、そーだねっ」
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは!とても面白いです!キスマイのファンの私にたまらなく好きです!特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります!続きを待っております! (10月3日 8時) (レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません(汗)今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね?!私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております!そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε` ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん(泣)涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの?・・・作者様の文才に感動!素晴らしいですね(((o(*゚▽゚*)o)))更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは!設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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