俺の相棒ですよーだ!*3 ページ29
「うぁぁあぁっ!」
「ニカぁっ!」
「健永、危ない!」
二階堂さんから溢れる魔力はどんどん強まり、体中を取り巻いていきます。
千賀さんは近づこうとしましたが、危険を感じた藤ヶ谷さんはそれを引き止めました。
「俺は…俺はぁっ!」
「ニカだめだ!そんなに一度に魔力を出したら…体が壊れちゃうよ!」
なおも必死に二階堂さんへ叫ぶ千賀さんですが、二階堂さんは一向に魔力をセーブしようとしません。
その様子を見た北山さんは、ふとあることに気付きました。
「…あいつ、白目向いてる……気失ってるんじゃねぇか?」
「えっ…」
未だに魔力を溢れさせる二階堂さんは、よく見ると確かに気を失っているようでした。
それでも止まらない魔力。
即ちそれは、魔力の暴走です。
「…ニカ!」
「あっ、健永!」
居ても立ってもいられなくなった千賀さんは、藤ヶ谷さんの手を振りほどいて走り出します。
「このまま魔力が暴走したら…あいつ、あぶねぇぞ…」
ぽつりと呟いた北山さんの言葉。
藤ヶ谷さんは千賀さんを止めようと手を伸ばしましたが、その言葉にピタッと動きを止めました。
「…ニカは俺らから見たら敵だけど、千賀にとっては……大切な奴なんだろうな」
「…北山……」
「俺たちが止めていい場面じゃねぇ。暴走した魔力は怖いけど、千賀にはニカを失う事の方がよっぽど怖いんだろ」
強い魔力に押されながらも一歩ずつ二階堂さんに歩み寄る千賀さん。
顔を守るように組まれた両腕は、魔力によって切り傷がたくさん刻まれます。
腕だけでなく、足や脇腹にも。
それでも千賀さんは、歩みを止めたりはしないのです。
「ニカ…っ、ニカ…!」
渦巻く魔力の中心で、立ったまま気を失う二階堂さん。
傷だらけになりながらも、千賀さんはやっとその体を抱きしめる事に成功しました。
「…ニカ、起きて…」
「…おれ、つょ、く…」
「大丈夫。ニカは充分強いよ…俺と一緒に、いっぱい訓練して…もっと強くなろ?」
「…せん、が…の、こと…まもり、たく…て…」
「……っ、ニカ……!」
うっすらと意識が戻ってきた二階堂さんの口から、優しさに満ちた言葉が紡ぎ出されます。
…二階堂さんが宮田さんの魔力に魅入られたのは、強くなりたいから。
強くなって、大切な人を…千賀さんを、守りたかったからなのです。
千賀さんは力の限り、二階堂さんを抱きしめます。
溢れていた魔力は次第に落ち着き、やがて静かになりました。
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは!とても面白いです!キスマイのファンの私にたまらなく好きです!特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります!続きを待っております! (10月3日 8時) (レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません(汗)今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね?!私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております!そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε` ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん(泣)涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの?・・・作者様の文才に感動!素晴らしいですね(((o(*゚▽゚*)o)))更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは!設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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