助けに行くぞ!*2 ページ20
暗く深い森を越え、黒雲が立ち込める山頂。
そこに、宮田さんたちの城…“ダンジョン”はありました。
「…っなせ!くそっ…こんにゃろ!はなせよ!!」
「わわっ、ちょっと〜暴れないでよ〜」
二階堂さんに担がれた北山さんは、鎖をジャラジャラ鳴らしながら必死に暴れます。
それを軽く去なすように、二階堂さんは平気な顔でダンジョンに入っていきました。
「…ニカ、余計なもの持ってきたね」
「え〜っ。いいじゃん別に。…宮田が玉に執着してるみたいに、俺もこの子が欲しかったの!」
「…まぁ、返してこいとは言わないよ。その代わり、今から俺と玉の邪魔だけはするなよ?」
「わかってますよーだ」
宮田さんはにっこり微笑むと、玉森さんの手を引いて奥の螺旋階段を登り始めます。
北山さんは必死でもがきました。
「っ、玉!おい、待てよ!!玉ぁ!!」
「…みつ…っ」
一瞬振り返った玉森さんは、瞳いっぱいに涙を溜めて、今にも消えてしまいそうな声で北山さんを呼びました。
恐怖で小さく震える玉森さんを、北山さんは何としてでも助けたかったのです。
「てめぇ!玉に手出してみやがれ、俺がぶっ飛ばすからな!!!」
「…みつ、っ…!」
思わず北山さんのもとへ足が向かいそうになった玉森さん。
…するとその時、突然北山さんの頬に鈍い衝撃が走ります。
その場の誰しもが呆然とする中、床に崩れ落ちた北山さんの顎を足先で捉えた人物に、北山さんは目を丸くしました。
「…よ、こお…さん…」
横尾さんは表情ひとつ変えずに、北山さんを冷たく見下ろしています。
あまりの鋭い視線に、北山さんは言葉を失いました。
「あ〜ちょっとわったー!顔に傷つけるのやめてよ〜」
二階堂さんは北山さんに駆け寄ると、切れてしまった唇の端を親指で拭います。
横尾さんは何も語らず、ゆっくりと背中を向けました。
「待っ…横尾さん!なんで、…っ」
「はいはい落ち着いて。…えーっと…“みつ”?だっけ?」
去っていく横尾さんを追おうとする北山さんを、二階堂さんがしっかり抱き止めます。
横尾さんは一度も振り返らず、螺旋階段を少し遅れて登り始めました。
「…みつっ…!」
「っ、玉ぁ…!」
「よしよし、みつはこっちだよ〜」
階段とは真逆の扉に、二階堂さんは北山さんを引きずって行きます。
玉森さんの瞳から、一筋涙が溢れた時。
ふたりを遮るように、重たく冷たい扉が閉められました。
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは!とても面白いです!キスマイのファンの私にたまらなく好きです!特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります!続きを待っております! (10月3日 8時) (レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません(汗)今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね?!私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております!そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε` ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん(泣)涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの?・・・作者様の文才に感動!素晴らしいですね(((o(*゚▽゚*)o)))更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは!設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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