闘技場*1 ページ14
「では、少々こちらでお待ちください」
「…ひとつ、教えてください」
「…なんでございましょう」
ｴﾝﾄﾘｰを終えて通されたのは、闘技場の控え室でした。
長い廊下にびっしりと並ぶ部屋が、選手の多さを物語っています。
藤ヶ谷さんはその中のひとつの扉に手をかけると、案内してくれたｳｪｲﾄﾚｽにぽつりと呟きかけました。
「…なんで、闘うの？…多分隣の、高い方の宿屋…闘わないんだよね？じゃあこっちでは、何のために闘うの？」
「そうですね、よく問い合わせをいただく質問です」
ｳｪｲﾄﾚｽは表情を変えずに答えます。
「望まれているのですよ。この平和ﾎﾞｹした世界に、闘いを。血を。若き力を。…それを見たいお客様たちのご要望を叶えたのが当店です。宿屋を訪ねるのは、大体旅の方ばかりですから。ある程度の戦闘力は備えてらっしゃるでしょう？」
「でも、こんな脅しみたいなやり方…！」
「ではお客様、看板に“命を懸けた闘技場にｴﾝﾄﾘｰすれば安く済みます”と表記された宿屋に…入りたいと思われますか？」
「…それは……っ」
藤ヶ谷さんが言葉に詰まると、ｳｪｲﾄﾚｽは目の前の扉を開いて中へ促します。
淡々と話し続けるその表情は、もうこの仕事に慣れているんだというのを物語っていました。
「大丈夫、お相手の方はﾗﾝﾀﾞﾑに当たりますが…医務室もご用意しております。運が良ければ“まいった”の一言でお命は助かりますよ」
「…でも、そうなったら…北山は…」
ｳｪｲﾄﾚｽはその問いには答えず、藤ヶ谷さんを少し強引に中へ押し込みました。
業務的な笑顔を作ってから一言、
「試合まで、どうぞごゆっくり」
とだけ残して、扉を閉めてしまいました。
「…北山……」
灰色の薄暗い部屋に、藤ヶ谷さんの呟きが溶け込みます。
用意されていた軋むﾍﾞｯﾄﾞに腰掛けると、ゆっくりと背負った剣を降ろしました。
「…俺、闘えるかな…」
うっすらと外が見える窓。
覗いてみると、隣の宿屋の一室が見えました。
先程まで藤ヶ谷さんと一緒にいたｳｪｲﾄﾚｽが、ひとりの傷だらけの男性を抱えて一室に入っています。
中にいた女性の二人組は、男性の姿を見ると悲鳴を上げて泣き崩れました。
(…多分、宿をどっちにするかで喧嘩して、男の人だけこっちに泊まったんだ…)
そして、闘技場で敗れたのです。
ｳｪｲﾄﾚｽが去ってからも、男性はぴくりとも動かず、女性たちは泣き止むことをしませんでした。
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桐山ななみ(プロフ) - こんにちは！とても面白いです！キスマイのファンの私にたまらなく好きです！特に悪役のみやっちにはもうドキドキが止まらなくハマり興奮しました笑最後どうなるか気になります！続きを待っております！ (10月3日 8時) (
レス) id: 034e0a3f60 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - すみません（汗）今気づいたのですが「もしもし、あなた」の作者さんなんですね？！私、「もしもし、あなた」が(ほかの作者さんには失礼ですが)占ツクの中で一番素晴らしい小説だと信じております！そちらの更新も楽しみにお待ちしております♪(´ε｀ ) (2017年1月8日 9時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 千ちゃん（泣）涙が止まりません(←ガチです。)なんて優しいの？・・・作者様の文才に感動！素晴らしいですね(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))更新頑張ってください(=ﾟωﾟ)ﾉ (2017年1月8日 8時) (レス) id: c04f163397 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは！設定にとても惹きつけられ夢中で読ませて頂きました。宮田くんには闇の部分を感じることがあったりしていたので、過去も含め魔王ミヤタから目が離せません。これからもとても楽しみにしています。 (2016年6月11日 20時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 七星さん» うふふ、宮玉要素はまだ焦らしますよ〜(笑)宮田さんはもう少し後に出てきますので、それまでどうなるのか予想してみてくださいね(*^o^*)笑 (2016年2月1日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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