あにまる日誌二冊目！

かえして！2*T ページ8

“「たまちゃん、海来るのははじめて？」

『はじめて！うみひろい！かいがら、がらがら〜』

「おっ、綺麗なの見つけたじゃん〜！よしよし」

『えへへ。あのねぇ、みあたにはねぇ…はいっ！これあげる！』

「えっ！すごい…綺麗な石…。これ、貰ってもいいの？」

『いいよ〜！たいせつにしろよ！』

「ふふっ。ありがと！大切にするね！」”



生まれて初めて海に連れて行ってもらった日。

今でも鮮明に覚えてて、中でも俺が小さな石をあげた時の宮田は…夕日に輝く海ぐらいｷﾗｷﾗしてた。

それからずっと小さな巾着に入れて、大切に首から下げてくれてた。

ちょっぴりくすぐったいけど嬉しくて、大切にしてくれてるんだって思った。


『…ないかなぁ』


宮田が探して見つからなかったなら、どこか小さな所に入ってるのかも。

そう思って、ひとり園内の狭い所を探して回る。

暗くて狭い所は入るの怖かったけど、通ってみたら意外と明るくて、通り抜けたら埃まみれになっちゃった。


『う〜ん…ないなぁ』

『ひ〜よこちゃ〜ん。ど〜したの〜』


ちまちま歩いてたら、檻から声をかけられた。

振り向くとﾅﾏｹﾓﾉのたろうちゃんが、ぶらぶらしながら俺を見ている。


『たろーちゃん、みやたのおとしもの、しらない？』

『みやた〜？さっき、ぼくのとこにもきたよ〜』

『そっか…ありが…』


ありがとうって言って去ろうとしたんだけど。

たろうちゃんの手に、何か持たれてる。

よくよく見ると、見覚えのあるそれがｷﾗｷﾗ…。


『あーーーっ！』


紛れもなく、宮田にあげた石だった。

たろうちゃんはのんびりと木を行き来して、去ってしまいそうになる。


『ま、まって！たろーちゃん、まって！』

『ん〜？な〜に〜？』

『それ！たろーちゃんがもってる、それだよ！みあたがさがしてたの、それなの！』

『これぇ〜？これはねぇ〜、ぼくのおりのまえに〜、おちてたの〜』

『うん、だから…』

『ひろったから、ぼくのだよ〜』


たろうちゃんはぶらぶらしながら、檻の奥へ行ってしまう。


『や…まって！たろーちゃんっ！』


慌てて檻の隙間から入り込んで、生い茂る草木を縫ってたろうちゃんを追いかけた。

俺が全力で走るｽﾋﾟｰﾄﾞより、たろうちゃんがのそのそ移動するｽﾋﾟｰﾄﾞの方が、ちょっとだけ速い。


『たろーちゃんっ！』


背の高い草で体が切り傷だらけになったけど、今は夢中でたろうちゃんを追いかけた。

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