こわいひと5*H ページ29
手が自由になった俺は、三人をまとめて抱きしめた。
「…ごめんな、こわい思いさせて。…人間を、嫌いにならないでくれ…」
精一杯の想いを込めて呟いた言葉に、子犬のふたりは涙を流して頷いた。
みつは俺の胸ポケットに潜り込む。
「ちょっとちょっと、何してんの〜」
「もっと会話っぽい会話しろよ。ていうか紐解いてんじゃねぇよ」
男たちが近付いてきて、逞しい腕が伸びてきた。
もうふたりにこわい思いさせたくなくて、俺はその腕から後ずさって逃げる。
やがて座席に背中が当たって、強い力で腕を掴まれた。
「ーいっ…!」
痛みに顔を歪めた瞬間、子犬のひとりが筋肉質な腕に噛みついた。
「ぅぎゃあぁっ!?…こんの、クソ犬!!」
小さな体は簡単に投げ飛ばされてしまい、なんとか体を打たないよう抱き留めた。
怪我はないみたいだけど…目を回してる。
「てめぇ…っ、いい加減にしろよ!動物だって生きてんだよ!!それを、俺たち人間が良いように使うなんておかしいだろうが!!」
頭に来て思わず叫んだ。
俺の話を聞いているのか聞いていないのかわからないけど、男は噛まれた腕をさすると俺の首もとを掴み上げた。
「うるっせぇんだよガキが!」
「ぐっ…」
『ひろみつ!』
車窓に背中を叩きつけられて、どんどん首が締まっていく。
両手で逃れようとしてもびくともしなくて、胸ポケットでみつがおろおろするのが見えた。
「おら、苦しいだろぉ?だははは!動物の心配するより先に、自分の心配しろよ!」
『ひろみつくんっ…!』
どんどん意識が遠退いていく。
指先が痺れてきて、頭に酸素が回らない。
体に力が入らなくなったとき、勢いよく手を離されて座席に叩きつけられた。
「ぐ、げほっ!ごほっ…はぁっ、は…」
「う〜ん、高く売れると思ったんだけどぉ…これだけ生意気じゃだめかなぁ…」
スーツの男は俺の顎を持ち上げて、まじまじと顔を見つめる。
そして思いついたように、気味の悪い笑顔を見せた。
「…うん、顔でも売れそうだね。ソッチ系にはウケそうだ」
「まじか。俺ソッチの方が得意だぜ?だははは!」
「そうだなぁ、無理矢理モノは最近売上伸びてるし、お前に任せるよ」
「オーケー」
カメラを回し始めたスーツの男。
何をするのかと思っていたら、背中を押されて座席に押し付けられる。
「痛っ…!」
「おら、大人しくしてろ」
俺の背中に乗り上げてきた男は、突然作業着を強引に脱がせてきた。
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谷森山(プロフ) - クララさん» 動物にはあの砂糖の塊はだめでしょうね…(´;ω;`)はむみつがうさがやと結ばれたら、このお話終わりだと思ってるんで(ひどい)。たまちゃんはずっと宮田さんとよちよちお散歩できればなぁと思います(*^o^*)笑 (2016年2月17日 23時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
クララ(プロフ) - ハムみつ華麗にうさがやの告白スルーしましたね(笑)いつ想い伝わるのかしら?がんばれーうさがや(///ω///)♪動物にチョコはアウトなんですよね〜なんでなんだろう。たまちゃんと宮っちにはほっこりしました。たまちゃんいつか素直になってね〜( 〃▽〃) (2016年2月17日 4時) (レス) id: 85262c7966 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - nicole155さん» たまちゃんはきっと好きって言わないで態度で示すだろうなぁと思いまして(*^o^*)はむみつさんは宮玉推しみたいなので、自分の事には鈍感極まりないですね(°°)うさがやさん頑張って!(笑) (2016年2月15日 16時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - たまちゃんさん» 度が過ぎるとツツキ攻撃になりますからね(笑)宮田さんは寝言らへんから起きてました(*^^*) (2016年2月15日 16時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
nicole155(プロフ) - ツンツンたまちゃんのかわいい告白、宮っち幸せですね(≧∇≦)がやさんの想いはいつハムみつに届くのか笑 (2016年2月14日 21時) (レス) id: 4603d11d5a (このIDを非表示/違反報告)
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