あにまる日誌二冊目！

こわいひと1*F ページ25

最近、毎日ひろみつくんが夜勤な気がする。

時折違う飼育員さんが心配そうにひろみつくんに話しかけてるけど、ひろみつくんはそれを笑って流す。


今日も例外なく、綺麗な星空が見える飼育員室にひろみつくんはひとり。


「ふぁ…」


眠そうに欠伸をする回数も増えて、なんだか心配だ。

昨日も夜勤で今朝方帰って、またさっき出勤なんだもん。

…ひろみつくん、大丈夫かな？


『ひろみつ、ねなきゃ！』

「ん〜？…ふふ、大丈夫」


北山も心配みたいで、隣のｹﾞｰｼﾞからひろみつくんを心配そうに覗いている。


『…じゃあ、あそぼーぜ！』

「この時間に？(笑)…何して遊ぼっか」


ひろみつくんは笑顔で北山をｹﾞｰｼﾞから出す。

手の中でくるくると回る北山は、ちょっと考えるように腕を組んで首を傾げた。


『うーん…』

「ふふ、どうする？」

「楽しそうだね、俺も混ぜて(笑)」

『「うわあっ！？』」


少しだけ開いていた扉から顔を覗かせたのは…



『あっ！たいちゃん！！』



「ふふ。久しぶり、みっくん」


爽やかな笑顔で登場したたいちゃん。

俺も嬉しくてｹﾞｰｼﾞで飛び跳ねてると、たいちゃんはすぐに気付いて抱き上げてくれた。


「…何、仕事は？」

「明日休みなの。だから…顔見にきた」


俺の背中を撫でながら、ひろみつくんの瞳を見つめるたいちゃん。

…俺たちの顔を見にきたの？それとも…






ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ…



「…誰だよ、こんな時間に…」


少しだけ頬を染めたひろみつくんは、北山を抱えながら玄関へ向かう。

残されたたいちゃんはゆっくり俺を撫でると、小さく溜め息を吐いた。


『…たいちゃんは、ひろみつくんがすきなの？』

「ん？…ふふっ、わかる？(笑)」

『すきっていわないの？』

「んー…そうだね、ちゃんと……伝えなきゃね」


真剣な面持ちで、たいちゃんは自分に言い聞かせるように呟いた。

何か話さなきゃ、と…思った瞬間だった。






『ふじがやっ！！たすけてぇ！！！！』







廊下から、北山の悲痛な叫び声。

たいちゃんにも聞こえたみたいで、顔を見合わせた。

たいちゃんの腕から飛び降りて、廊下へ続く扉を抜ける。


ばたん、と大きな音がして…開けっ放しの玄関から一台の大きな車が去っていった。





「…北山？」


確かに玄関に向かったはずの、ひろみつくんと北山。

俺とたいちゃんは同時に状況を理解した。



『…ゆうかい！？』


俺たちが走り出すﾀｲﾐﾝｸﾞも、同時だった。

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