あにまる日誌二冊目！

お世話になります！2*Y ページ2

施設内は冷暖房完備の、一室一室が広々とした空間。

どうやら少しの間だから夜勤は任せていいようで、俺たちはﾎｯとするのと同時に少し不安になった。


「…で、みつのこういう合図があって…」


さっきからﾆｶが北山さんに三人の癖や仕草を教えてる。

北山さんは至極真剣に聞いてくれて、聞き終えると笑って頷いた。


「一応、ﾈｻﾞｰﾗﾝﾄﾞもｼﾞｬﾝｶﾞﾘｱﾝも雛も…群の部屋があるんですけど。一緒にしない方がいいですかね？」

「あ、いえ。顔でわかりますし、名前呼べば来る子たちばっかりなんで。一緒で大丈夫です。みんな淋しがりだしね(笑)」

「んふふ、了解です。今日はお疲れでしょうし、後は任せてくださって大丈夫ですよ」


北山さんは優しく微笑むと、飼育員室へ置いたままだった三人のｹﾞｰｼﾞを抱えた。

中からたまとみつが手を振ってる。

…たいすけは、まだ放心してる。


「みつ、ちゃんといい子にしててね？」

「つまみ食いはだめだからねっ」

『おう！にかいど、せんが、おやすみっ』

「た〜まちゃんっ」

『うるさいかえれ』

「ひどい！…ふふっ、おやすみ」

『…ん』


「…たいすけ」

『………』

「たいすけったらたいすけ！」

『えっ！？Oh yeah〜！』


…こりゃだめだ。

とりあえず落ち着かせるように頭を撫でたけど、ｷｮﾛｷｮﾛしてて落ち着かない様子。


「…北山さん、よろしく。たいすけ、迷惑かけるなよ」

『…うん。わたる、おやすみ』


ようやく落ち着きを取り戻したたいすけ。

俺たちは北山さんに会釈して、三人に手を振りながら飼育員室を出た。



「…みんな、大丈夫かな。みつとか、おなか壊してないかな」

「ﾆｶ、心配しすぎだよ。北山さん優しそうなひとだったし、大丈夫でしょ」

「俺はきたみつよりも、がやさんがｱﾜｱﾜしてたのが気になるわ」

「…うん、俺も」


帰りの車は、とにかくみんな落ち着かなかった。

改装中の施設を通り過ぎて、それぞれの家まで送り届ける。

最後にﾆｶを家まで送った時、ﾆｶはぽつりと呟いた。


「…なんか、変なかんじ」

「ん？」

「四人揃うのって今までなかったじゃん。誰かは必ず夜勤だったし」

「ん…そうだね」

「…わったー、改装工事…早く終わるといいね」


ﾆｶはちょっとだけ淋しそうに微笑んでから、車を降りた。

俺も若干の淋しさと不安を抱えながらも、後ろ向きな考えはやめようと首を振る。

肌寒くなってきた秋の夜道を、ゆっくり自宅まで車を走らせた。

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