第２１３話 ページ31
.
ふと目を開ければ､見慣れた天井｡
窓から夕陽の光と､反射した海の光が照らされ､キラキラと輝いている｡
「きれ…い…」
体を起こそうとしたが､思うように動かず､起きることを諦める｡
暫くして､ドアが開いた｡
「A…？」
「リゼ姉さん…」
パタパタと走ってきて､思いきり私に抱きつく｡
「良かった…本当に､良かった…」
「姉さん…私…」
守れなかったよぉ…
ポロッと口から出た言葉と共に､目頭が熱くなる｡
溢れる涙はリゼ姉さんの服に吸い込まれ､シミをつくっていく｡
だるかった体を無理に動かし､姉さんを抱き締め返した｡
「貴女のせいじゃないわ…ゼーラもイヴも､貴女のせいじゃない！」
私の口からは嗚咽が漏れるだけで､言葉を紡げない｡
ふわりと漂うリゼ姉さんの香り｡
それが余計に私を安心させてしまう｡
「ぅう…うわあぁぁぁぁあああん！！」
ゼーラ姉さん､イヴ兄さん､ごめんね……
「落ち着いた？」
「うん…ありがとう｡」
姉さんがココアを持ってきてくれて､それを受けとる｡
甘い香りが鼻を掠める｡
「A､明日はイヴを埋葬しましょう｡」
「埋葬…」
イヴ兄さんの体温が､まだ手に残っている｡
徐々に冷たくなっていく温度も思い出してしまい､血の気が引いていくのを感じる｡
「前を向かなきゃ｡」
「！！」
リゼ姉さんは､真っ直ぐ私を見てきて､視線を合わせる｡
「イヴの事を忘れろって言ってるんじゃないの｡でも考えてみて？私達がいつまでも悲しい顔をして航海するなんて､イヴが望むかしら｡」
『笑うとき！Aは､皆は笑顔が一番や！笑てる奴が､一番強いさかい！』
「きっと…望んでない…」
望んでない…望んでない！！
だから､前を向かなきゃいけないんだ！
うじうじしてちゃ…ダメなんだ！！
「姉さん…ありがとう｡」
「A｡」
「もう…下向くの止める｡自分はダメだなんて思わない｡前を向いて生きてく！」
リゼ姉さんを見て､ニッと笑って見せる｡
姉さんも､安心したように笑みを見せた｡
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リツ(プロフ) - oumim4isさん» コメントありがとうございます！受験勉強も更新も頑張ります！！ (2018年5月20日 15時) (
レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
oumim4is(プロフ) - 初コメントですが、無理をなさらずに、受験勉強と更新を頑張って下さい。 (2018年5月20日 12時) (レス) id: 22de3e31e2 (このIDを非表示/違反報告)
リツ(プロフ) - ﾚﾐさん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2018年4月3日 9時) (レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾐ(プロフ) - 面白いです！応援してます！頑張ってください(^∇^)！ (2018年4月3日 2時) (レス) id: 1bc108194c (このIDを非表示/違反報告)
リツ(プロフ) - 苺大福さん» コメントありがとうございます！この小説を見ていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2018年3月28日 18時) (レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リツ x他1人 | 作成日時：2018年3月25日 20時
