第２１１話 ページ29
.
「生きて」
「次会ったとき､ちゃんと私を殺してね？」
「お前と出会えて…ほんまに良かった…」
「何が鬼人だよ｡何が世界を壊す力を持つ者だよ｡あんたなんか何者でもない｡何者にもなれない｡あんたが弱いから皆死んだんだよ｡
あんたの考えが甘いから､ほら､見て？
みーんな死んじゃった｡」
「あんたは弱いまま｡大切な人も守れない｡だったら死ね｡あんたが死ね｡あんたは死神だよ｡あんたの周りにいた人達は皆不幸になる｡」
「あんたが死ぬことで､幸せになる人達がいるんだから」
─────だから…
───────────あたしが殺してあげる
「はぁっ…！！」
荒くなる息を懸命に押さえようと体を丸くする｡
汗ばんだ体が気持ち悪い｡
酸素が巡っていないのか､クラクラする｡
手足が痺れてくる｡
息ができないっ…！
「ヒュッ…げほっ……ハァッ…ｹﾞﾎｯ」
声を出そうにも口からは空気が漏れる音しか聞こえない｡
涙で霞んでいく視界の先に､ドアが開いた｡
「Aっ！！」
途端に､人の体温を感じた｡
抱き締められているのか､体全体に温もりが伝わる｡
「大丈夫よ…ゆっくり息を吐いて…」
優しく背中を擦られ､呼吸も徐々に整っていく｡
力が入らない腕で､その人を抱き締めた｡
痛い…痛いよ｡
胸に､穴が空いてしまったように痛いんだ｡
どうして､どうして痛いの
私は何で､泣いてるの
「落ち着いた？」
私を抱き締めていたのはリゼ姉さんだった｡
「大丈夫よ…」
一定のリズムで背中を優しく叩かれ､また眠気が襲ってきた｡
でも嫌…寝たくない
夢をみたくない…
殺そうとしてくる
誰かが私を────
………あれ…？
「イ…ヴ兄､さん……？」
『ぐあぁぁあああああああっっ！！』
「いっ嫌ぁ！！」
殺した､私が殺したようなものだ！！
手は届いたはずなのに！！
見ることしかできなかった！！
私はイヴ兄さんを見捨てたも同然だ！！
「あ”…アア”アァァ”ああ”あぁァあ”！！」
私は叫びながら近くにあったハサミを取り､自身の左腕に突き刺した｡
何度も何度も｡
「死ね！！死ね！！死んでしまえ！！私なんかっ…死んじゃえぇええ！！」
「止めてA！！止めて！！」
痛みはある｡
それでも突き刺した｡
その度に傷は治っていく｡
今はこの体が､何よりも恨めしい
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リツ(プロフ) - oumim4isさん» コメントありがとうございます！受験勉強も更新も頑張ります！！ (2018年5月20日 15時) (
レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
oumim4is(プロフ) - 初コメントですが、無理をなさらずに、受験勉強と更新を頑張って下さい。 (2018年5月20日 12時) (レス) id: 22de3e31e2 (このIDを非表示/違反報告)
リツ(プロフ) - ﾚﾐさん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2018年4月3日 9時) (レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾐ(プロフ) - 面白いです！応援してます！頑張ってください(^∇^)！ (2018年4月3日 2時) (レス) id: 1bc108194c (このIDを非表示/違反報告)
リツ(プロフ) - 苺大福さん» コメントありがとうございます！この小説を見ていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2018年3月28日 18時) (レス) id: 14d43f0686 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リツ x他1人 | 作成日時：2018年3月25日 20時
