【wrwrd】アカに染まる【男主】 (ページ12)

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おれと青色ページ12

「Aくぅ～ん」
『うわっ、大先生だ』
「うわってなんやねん、うわって。」
『驚いただけ。』
「ほんまにぃ～？」
『ほんまほんま』

いつも通りの会話に空気が和む。
トントンやコネシマ、シャオロンなどは「きっしょ。」とか言うのだろう。おれは言わない。
だって大先生がちょっとだけ寂しそうな顔をするから。

『無理は禁物だよ。』
「んぇ？どうしたん急に？」
『別に、大したことじゃないよ。』

感情を揉み消す胡散臭い笑顔を貼り付ける大先生。
無理はして欲しくない。
ありのままの大先生を見たい。
触れてしまえば崩れそうで、離してしまえば消えてしまう。
彼から放たれる陰鬱なオーラとは違った本当の姿。
時々見せる子供らしい笑顔と笑い声がおれはたまらなく好きだ。

『…ねぇ大先生』
「ん～？どした～？」

煙草を咥えてへにゃりと笑う大先生に少しだけ悪さをしてみようと思う。

『煙草っておいしい？』
「おん、たまらんでこれ。」
『へぇ…おれも吸ってみたいなぁ…』

ちらっと大先生の顔を覗くと、悪い顔だ。
口の端を吊り上げて悪い笑い声をあげる大先生。
おれが見たかった笑顔じゃないけど、この大先生も本当の姿だと思う。
スっと差し出された煙草を手に取ろうとした時、おれの手は大先生の頬にあった。

『あ、』
「だーめ、まだ未成年やろ？それに俺がとんちに怒られてまう。」
『…元々吸う気はなかったよ』
「…ほんま悪い子っちゃな！！」

だはははと豪快に笑う大先生。
そう、それだ。その顔だ。本当の大先生。
胡散臭さなんてものはなくて、まるで子供のような笑顔と笑い声。
おれは、今の大先生が好きだ。