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20. 総統閣下とキスするだけの話 grpn ページ23

『キス、してもいいか…?』
獣のようにギラついた瞳で見つめられて、物欲しそうな顔で見つめられて、いいえと答える者が何処にいるのだろう。

『いいよ、お好きにどうぞ』
私はそっと目を閉じ、キスを待つ。
その言葉に、私は後悔することになる。


最初にちゅ、と音の鳴る短いキス。これはキスをする時の、グルちゃんの癖だ。
そして、ふに、と一度唇を押し付けられる。嗚呼、温かい。

次に、海外の恋愛ドラマによくある、まるでお互いの唇を食べ合うかのようなキス。
これ、私はとても恥ずかしいからあまりやりたくない。だからすぐに私はやめてしまう。

次にグルちゃんは自身の唇で私の下唇を柔く挟み、ちゅ、と音を鳴らしながらそっと離す。
それが終われば上唇を舌でぺろりと舐める。少しくすぐったくて、思わず声を漏らす。

次に、小鳥が餌を啄むような、短い小さなキス。
しかしそれは、まるで休む事をせず、ずっと続くものだから、息が続かない。

息が切れて顔を横に向け酸素を求める。
しかしグルちゃんはそれを許さないとでも言うように両手で私の頬を包み、無理矢理其方へ向かせ、また短い小さな大量のキスを私に浴びさせる。

とうとう息苦しくなって口を開ければ、まるでそれを狙い、待っていましたとでもいうように、グルちゃんの舌が口の中に入ってきた。

くちゅ、ぬちゃ、という水音は鼓膜の更に内側へとやってきて、そのまま頭の中で反響し響き渡る。

嗚呼、恥かしい。頼むから、はやく終わって。…お願い、終わらないで。
ぐるぐると頭の中で全く違う願いが渦巻く。

そして、流石にグルちゃんも疲れたのか、はぁ、と息を吐きながら、そっと唇を離す。
線となった唾液が私達の口を繋ぎ、そして、ぷつりと切れる。


グルちゃん少し息が切れた程度で、まだまだ余裕があった。
対して私は息も上がって肩を揺らし、体力も尽きへとへとの状態だった。

「A、体力無さすぎじゃないか?」
くつくつと喉を鳴らすような笑い方に、むっとする。

「…しばらく、きす、禁止ね…。」
はぁはぁと浅い呼吸を繰り返しながら私はグルちゃんに伝える。
グルちゃんは酷くショックだったようで、驚いた顔で少し固まった。
しかしそれは一瞬の出来事で、すぐににやついた笑顔でこう言った。

「キスは、禁止なんだな?」
その言葉を言いながら、グルちゃんは私をとん、と押し倒した。



嗚呼、まずい。

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イェーーーーイ - ゾムニキィの話、めっちぁニヤけました (2019年7月19日 16時) (レス) id: 4c40c5f85b (このIDを非表示/違反報告)
イェーーーーイ - すごいっッス!!!!感激ッス!!!!!師匠!!!!! (2019年7月19日 16時) (レス) id: 4c40c5f85b (このIDを非表示/違反報告)
イェーーーーイ - めちゃおもろかったっす!!全部読みました!!自分も書いてたけど、すぐにやめてしまいました.....。だからこんなにかけるなんて、 (2019年7月19日 16時) (レス) id: 4c40c5f85b (このIDを非表示/違反報告)
ふうせんかづら(プロフ) - ななしさん» コメントありがとうございます。ひとらんらんさんの話は、お恥ずかしながら口調などキャラを掴めていなくて書きたいけど書けない、という状態です。他の作者様の作品等を見て研究?をしてはいるので、もう少しお待ち頂ければと思います。質問ありがとうございました。 (2017年7月11日 11時) (レス) id: e9f11f3778 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - コメントで失礼します。質問なのですが、ひんらんらんさんのお話は書かれないのでしょうか? (2017年7月10日 17時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たさとけののこ | 作成日時:2017年3月12日 22時

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