16話 絡まった心 ページ18
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力がない。でも叶えたい目的が有る。その為には、自分の全てを注ぐしかない。
まるで狂気のようだ。
鬼の首が切れない鬼狩りなど、末路は決まっているようなものなのに。
いや、彼女はそれに気づいているだろう。気づいた上で、命を賭す覚悟で鬼狩りをしているという訳か。
『選択肢が限られている』
何故だかこの事が、ずっと心に引っ掛かったままだった。
「…あの穏やかな雰囲気に似合わず、彼女はずっと、血反吐を吐くような努力されてきたんですね。」
「はい。ですがあの笑みは…胡蝶様は、鬼にお姉様を奪われてから、変わってしまったんです。無理してずっと笑って、まるで亡きお姉様のように…。」
アオイは俯くと悔しそうに、手をギチギチと握りしめてた。
姉を殺された復讐。
それが彼女が持つ、狂気の起源なのだろう。
「··ご無理を為さっているんですか。それは心配ですね。」
“復讐” 私には想像する事でしか分からない。
でももし…
もしも兄さんが殺されたなら、私も同じ事をするのだろうか。
(·····わからない)
兄さんがいない世界なんて、考えたく無い。絶対に。
兄さんは私の全てだから。
…しかし何故この娘は、会ったばかりの私に、この事を話したのだろうか。
柱だからと言うにしては、信用しすぎな気もするが。
「アオイさんは、どうしてそれを私に話してくれたんですか」
「·····どうしてでしょう…たぶん、白喰様と胡蝶様が、似ているような気がしたから。でしょうか」
「!……“似ている”? 彼女と私が?」
「はい。上手くは説明できませんが…」
“ありえない”
その言葉が出なかった。
私は薬学に精通してるわけでも、復讐者でもない。
目的の為に人を騙し、本来の自分を隠してはいる。
だが私は私の目的の為に生きてる。
自分を偽ってる訳ではない。
彼女と私はまるで違う。
でも、なぜ私は、言えなかったのだろう。
『彼女には選択肢が限られている』
『末路をわかっているのに、やるしか無い。』
何故だか、この言葉を思い出してしまった。
だが、その理由は私には分からない。わかってはいけない。
「・・・そう、それはきっと勘違いです。
彼女と私は違いすぎてますから。」
お茶を飲み干すとそっとカップをテーブルに置き、私は立ち上がった
「そろそろ犬彦の診察が終わる頃ですね…もう行きます。美味しいお茶をありがとう。」
そうして私は逃げるように、その場を去った
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リートにゃむだ(プロフ) - 叶乃さん» ありがとうございます!!嬉しいです!めっちゃやる気出ました!これからも是非見てくださると嬉しいです!♪ (2023年2月9日 14時) (レス) id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - 初コメ失礼します!作品とても面白かったです!内通者って言う設定がとても面白いです…!これからもが頑張ってください! (2023年2月8日 23時) (レス) @page21 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - ぺぽんさん» ありがとうございます…!凄く嬉しいです!!文才がない私が答えるのも烏滸がましいですが、助詞をなるべく使わない、空白と漢字を使いまくり文章をなるべく短くする。ってことくらいです。読みやすいと言われたのは初めてでテンション上がってしまいました笑。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page14 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、物語楽しく読ませてもらっています! 読みやすく書かれているのに主人公の心情も分かりやすいので続きが楽しみです! 私も小説を書いているのですが、文章がごちゃごちゃして読みづらく…にゃむださんは書くときに、何か気をつけていることはありますか? (2023年2月7日 18時) (レス) @page13 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - 気づきませんでした。報告感謝です! (2023年2月6日 19時) (レス) @page7 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リートにゃむだ | 作成日時:2023年2月6日 18時