18話 無慈悲 ページ20
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診察室に着き、犬彦の隣に座った。
何時もにこやかな表情の胡蝶しのぶが、何時にもなく真剣な表情をしていた
そして告げられる
「もう鬼殺をすることは叶わないでしょう」
無慈悲で残酷な現実を。
「…!それはどういう意味っスか!」
犬彦が身を乗り出した。私も驚いて、一瞬言葉が出なかった。
「傷が神経にまで達しています。
日常生活では、多少の違和感が残る程度でしょう。ですが剣は、もう振れないと思った方がよろしいかと」
「・・・」
犬彦は悲しい事実に絶句しているようだった。
無理も無い。彼は腕の傷を対して、重く考えて居なかったから
いや、犬彦の事だ。それを何となく察して、その上で医療所に訪れなかったのだろう。
この言葉を聞きたくなかったから。
「犬彦…」
もう二度と振れない。
鬼を倒す為、何年も修行をしてきた彼にとって、どれほど悔しいか。
(まぁ、そんな事はどうでもいいが)
私にとって、犬彦の思いなど知った事ではない。
チラリと様子を伺うと、犬彦と目が合った
「…大丈夫っすよAさん。
俺、鬼殺隊で大して役に立てなかったし、潮時ってことっすよ!」
無理に笑っていた。
唇が震えてる。泣くまいと、必死に矜恃を保っているようだった。
これは、またとないチャンスだ。
「…犬彦。もし、貴方が良ければ
___私の補佐になりませんか?」
「!! 補佐…ですか?」
犬彦が驚いたように目を丸くした。
「そう。私は任務が多いだけじゃなく、書類の選考や見回りが忙しくてね。 正直手が回らないんだ。
だから補佐が欲しいと思っていたんです。」
剣が使えないのであれば、それはもはや剣士ではない。
つまりは余計な仕事に行かず、私の補佐として、私の仕事をこなせるという事だ。
これ程都合のいい話はない。
「犬彦、私の補佐として鬼殺隊に残りませんか。
あなたの思いは私が受け取ります。鬼は私が倒します。
ここまで一緒に来たんですから、最後まで共に戦いましょう」
「っ!!…Aさん·····ありがとうございます!!」
犬彦はダムが崩壊したようにポロポロと泣き始めた。
「これも共に、鬼を倒して行きましょう。」
「っぅ…勿論っス!!」
あァ、私はなんて運が良いのだろう。
こうも都合良く、優秀な補佐を簡単に手に入れる事が出来るとは。
彼は最後には捨てる、使い捨てのコマなのだ。
これ位の対価はくれてやる。
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リートにゃむだ(プロフ) - 叶乃さん» ありがとうございます!!嬉しいです!めっちゃやる気出ました!これからも是非見てくださると嬉しいです!♪ (2023年2月9日 14時) (レス) id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - 初コメ失礼します!作品とても面白かったです!内通者って言う設定がとても面白いです…!これからもが頑張ってください! (2023年2月8日 23時) (レス) @page21 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - ぺぽんさん» ありがとうございます…!凄く嬉しいです!!文才がない私が答えるのも烏滸がましいですが、助詞をなるべく使わない、空白と漢字を使いまくり文章をなるべく短くする。ってことくらいです。読みやすいと言われたのは初めてでテンション上がってしまいました笑。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page14 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、物語楽しく読ませてもらっています! 読みやすく書かれているのに主人公の心情も分かりやすいので続きが楽しみです! 私も小説を書いているのですが、文章がごちゃごちゃして読みづらく…にゃむださんは書くときに、何か気をつけていることはありますか? (2023年2月7日 18時) (レス) @page13 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - 気づきませんでした。報告感謝です! (2023年2月6日 19時) (レス) @page7 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リートにゃむだ | 作成日時:2023年2月6日 18時