. ページ38
.
キヨ今日は迎えに行ける
スマホを覗きながら会社のビルを出ると、見慣れた一台の車が停まっていた。
『キヨくん、お待たせ』
「おう、お疲れ」
私を見た瞬間、満面の笑みを浮かべた彼。
いつもだったらそんなキヨくんに癒されるのに。
昨日から消えない彼への疑いから、私の顔は歪むばかり。
私の気も知らないキヨくんに、だんだんとイラつきが募ってきた。
「今日は仕事どうだった?」
『……別にいつもとおんなじ』
「ふーん、そっか」
私の冷たい態度に何かを察したキヨくんは、そのまま押し黙る。
二人とも何か言いたいのに言えない。
この空気感は何度経験しても気まずい。
「……なぁ、なんか怒ってる?」
暫くして、様子を伺うように口を開いたのはキヨくんだった。
なんて言おう……
なんでもない振りをするべきか、私の胸の内を曝け出すべきか。
『……キヨくんさ、もしかして浮気してる?』
「……は?」
少し悩んで出した答えは、素直に疑念を伝えることだった。
もやもやした気持ちを抱えながらキヨくんと接するなんて、私には出来ない。
『ここ数日さ、迎えに来てくれなかったから。もしかして、他の女の子と遊んでたんじゃないかって』
大した確証もないまま、こんな事言いたくない。
でも、どうしても拭えない。
キヨくんの事を信じようと思うのに、どうしても昔のトラウマが蘇っては"浮気"の二文字を呼び起こす。
お願いだから違うと言って……
そう、願ったのに。
「……ごめん」
キヨくんから出た言葉はこの三文字だった。
412人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひばり(プロフ) - ゆーみさん» 愛を叫んでいただきありがとうございます!笑 嬉しいです〜! (2020年8月27日 21時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみ(プロフ) - うぬぅ!こぉれすきだああああ(???) めっちゃ好きですこれ!! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 764e348d9e (このIDを非表示/違反報告)
ひばり(プロフ) - ゆきさん» わぁ!ゆきさん!私、ゆきさんのお話大好きなので、そんな方からコメント頂けて嬉しいです……!!ありがとうございます……! (2020年8月23日 20時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - コメント失礼します!あ……面白そう……と思ったらひばりさんの作品でした、、、。前作のお隣さんも陰ながら見てました!これからも更新頑張ってください!! (2020年8月23日 20時) (レス) id: 0ee34f3752 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひばり | 作成日時:2020年8月22日 17時