【実況者】僕らはみんな狂っている－真相編－【ky,rt】 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:19,109 hit

疑いページ10

キヨさんが帰った直後、

「A」

レトくんから名前を呼ばれ
返事をする前に抱きつかれた＿＿＿

私はその腕を

すぐに振り払った。

その時のレトくんの
信じられない、とでも言いたげな顔。

そりゃそうだ。

今まで従順だった私が
初めて拒否したのだから。

「Aどうしたの……？」

『……』

「なに？もしかして俺のこと嫌いになったの？」

依然として黙り
レトくんをじっと見つめるだけの私。

痺れを切らしたレトくんは

「答えてよ！！！！」

と声を荒らげた。

きっと、以前までのレトくんだったら
容赦なく私を殴ってたと思う。

でも、

もう暴力を振るうことなんてない。

私の瞳に映るレトくんは
酷く憐れに見えて、

そんなレトくんに
「好き」なんて感情は湧かなかった。

ピンポーン

ただ黙って対峙していた私たちは
インターホンの音で同時にそちらを見る。

私に何か言いたげな表情をしてから、

レトくんは
玄関へと向かって行った。

訪問者が

スマホを忘れたキヨさんであることは
すぐにわかった。

だって、

スマホを隠した犯人は私だったから。

さり気なく
テーブルの上に戻したキヨさんのスマホを

レトくんが持ち出して
また玄関へと向かっていく。

その時、

玄関から

「さっきなんかあった？」

と言うキヨさんの声が聞こえた。

きっと、レトくんの
「答えてよ」という声を聞いたんだろう。

それなら、私の作戦は成功。

キヨさんが
私たちの異変を察することが

今回、私のミッションだったから。

今後は私の演技力が
キヨさんとの関係を左右する。

さあ、キヨさん。

あなたはどんな行動をとる？